本棚の住人、Konohaです。
5月のホラー新刊情報をチェックしていたら、声が出てしまうくらい気になる本が続々と見つかりました。澤村伊智さんの新作はもちろんですが、乙一さんのデビュー30周年記念自選短編集、豪華な作家陣が揃ったアンソロジー、話題のホラーミステリー文庫化、実話怪談集まで、今月のホラーは豊作です。一緒に5冊チェックしていきましょう。
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ととはり屋敷(9)/澤村伊智
最強の霊能者・比嘉琴子には6人の弟妹がいた。だが、生き残ったのは真琴だけ。弟の双子・龍也と虎太を襲ったキャンプ場の惨劇、その下の弟の肇が挑んだ少年野球チームの怪、末子の栞が命がけで対峙した凶悪な獣。住人不在となった比嘉家は、いつしか呪われた家として話題を集めていた。家に現れる「ととはり」という文字列と、人を襲う化け物の正体とはーー。家族の歴史を紐解く、比嘉姉妹シリーズの前日譚となる短編集!
(角川ホラー文庫 / 1,078円 / 2026年5月25日発売)
紹介文に澤村伊智さんの名前を見つけた瞬間、迷わずチェックしてしまいました。比嘉姉妹シリーズはずっと追いかけているシリーズで、その前日譚となる短編集というのがまたいいんです。
「最強の霊能者・比嘉琴子には6人の弟妹がいた。だが、生き残ったのは真琴だけ」という書き出しだけで、もう怖さと悲しさが入り混じった読書体験が予感できます。シリーズを読んできた方なら、あのキャラクターたちの過去が描かれると知るだけで胸に来るものがあるのではないでしょうか。
キャンプ場の惨劇、少年野球チームの怪、凶悪な獣……それぞれの弟妹たちが対峙した恐怖が、短編集の形で明かされていくという構成も読みやすそうで、怖さの密度が凝縮されていそうです。そして「ととはり」という謎の文字列の正体が何なのか……想像するだけで、期待と少しの怖さが半々の気持ちになります。

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七人怪談(1)/加門七海・菊地秀行・澤村伊智・霜島ケイ・名梁和泉・福澤徹三
「これは、わたしが小学校の、高学年だった頃の話です」──少女が雑誌に投稿した、ある家族を襲った不気味な怪異の記録。悪化していく一方の父の怪我、何者かに乗っ取られ不気味な笑い声をあげる妹。そして親類たちの死。霊能者”マツシタサヤ”によって怪異は鎮められ、記録は締めくくられる。だが、この投稿を皮切りに、マツシタサヤを巡る不可解な記録が世に溢れはじめ……(澤村伊智「サヤさん」)。
(角川ホラー文庫 / 1,122円 / 2026年5月25日発売)
加門七海さん、菊地秀行さん、澤村伊智さん、霜島ケイさん、名梁和泉さん、福澤徹三さん。この6名の名前が揃っているだけで信頼感が違います。ホラー好きなら思わず手が止まってしまうメンバーではないでしょうか。
あらすじは澤村伊智さんの「サヤさん」という作品から抜粋されているようです。少女の投稿をきっかけに、霊能者をめぐる不可解な記録が世に溢れ出す……という展開が、怪異の広がり方として絶妙に不気味です。それぞれの作家がどんな怪談を持ち寄るのか、読む前からすでに楽しみで仕方ありません。ホラーアンソロジーは各作家の個性が際立つのが魅力なので、今月の収穫としてぜひ手に取りたい一冊です。

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乙一デビュー30周年記念自選短編集1996-2026/乙一
乙一の真髄を味わう。1996年のあまりにも衝撃的なデビューから2026年の脂の乗り切った現在に至るまで。30年間に及ぶ全作品の中から乙一自らが選び抜いた珠玉の作品に加えて書き下ろしの「アテンド探し」を収録した傑作選!
(星海社 / 2,475円 / 2026年5月27日発売)
乙一さんのデビュー30周年というだけで、もう特別な一冊だとわかります。1996年に19歳で「夏と花火と私の死体」でデビューし、その衝撃は今も語り継がれています。ZOO、GOTH……と独自のダーク世界観で読者の心を掴んできた作家が、30年間の全作品の中から「自ら選び抜いた」というのが最大の見どころではないでしょうか。
作家本人がいちばん伝えたい作品を集めたわけですから、読む前からその選択眼が気になってしまいます。さらに書き下ろし「アテンド探し」が収録されているのも見逃せません。30年の集大成と新作が同じ一冊に入っているというのは、ファンとしてはたまらない構成です。ホラー色の強い初期作からじっくり読み返したい方にも、初めて乙一作品に触れる方にも、どちらにとっても入り口になる一冊だと思います。

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食べると死ぬ花/芦花公園
最愛のひとり息子・裕也を失った桜子は、カウンセラーの久根ニコライからふしぎな壺を与えられる。美しい彼は3つのルールさえ守れば裕也が帰ってくると言うがーー。絶望した人間たちに久根が与える贈り物は、神の奇蹟か、それとも悪魔の呪いなのか。全ての謎が繫がるとき異なる世界への扉が開く。人間の欲望を抉り出す、極上のホラーミステリ。文庫化に際し、最終章「診断の鍵」を書下ろし収録。
(新潮文庫 / 935円 / 2026年5月28日発売)
「食べると死ぬ花」というタイトルだけで手が止まってしまいました。いったい何がどうなるのか、気になり始めたら止まりませんでした。
「3つのルールさえ守れば死んだ息子が帰ってくる」という設定は、読む前からすでに薄ら寒い感じがします。神の奇蹟か悪魔の呪いかというどちらに転んでも怖そうな問いかけも絶妙ですし、「人間の欲望を抉り出す」という言葉からして、救いのない方向に転がっていきそうな予感がします。連載時から「もう本当に最悪でした、もちろん褒め言葉」「吐きそうなくらい嫌な話」と話題になっていたとのことで、それはもう読まずにはいられません。文庫化に際して書下ろしが追加されているのも嬉しいポイントです。ホラーとミステリーが融合した作品が好きな方には特にぴったりかもしれません。

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怖い話を聞かされた/吉田悠軌
誰かの身に起きた怪異が伝播し、やがて恐ろしさを増していく…。恐怖の連鎖反応の波紋を克明に描くリアルな怪談集!
(竹書房怪談文庫 / 880円 / 2026年5月29日発売)
「怪談研究家」として知られる吉田悠軌さんの怪談集です。タイトルが体言止めになっているのがまた効いていて、「誰かに怖い話を聞かされた」という体験自体が、もう怪談の始まりなんだという感じがします。
「誰かの身に起きた怪異が伝播し、やがて恐ろしさを増していく」という言葉が刺さります。怪異は伝わるものなんだ、という感覚がなんとも不気味です。実話怪談は読んでいる間ずっと「これ、本当にあったこと……?」という引っかかりがあるのが独特の怖さで、吉田悠軌さんのような研究者ならではの調査と考察が加わると、その説得力がさらに増します。まっさらな状態で飛び込んでいきます。

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まとめ / おわりに
今月は澤村伊智さんの新刊に加えて、乙一さんのデビュー30周年記念短編集、豪華作家陣のアンソロジー、「極上のホラーミステリ」と紹介される文庫化作品、実話怪談集と、ホラーの中でも異なるテイストの5冊が揃いました。改めて並べてみると、キャリアの集大成から単体作品、アンソロジーまで、ホラーというジャンルの幅の広さを感じます。
読了したらブログでレビューを書きますので、またぜひ遊びに来ていただけると嬉しいです。
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