本棚の住人、Konohaです。
5月になりましたね。ゴールデンウィークが終わってようやく日常が戻ってきた……と思ったら、今月も気になる新刊がちらほら顔を出していました。ミステリー好きとして見過ごせないものが何冊かあったので、一緒に5月の新刊をチェックしていきましょう!
今回は探偵不在のクローズドサークルミステリー、「このミス」大賞シリーズの日常ミステリー、三島由紀夫が戯曲化した古典名作の文庫化、邪馬台国の謎に挑む歴史ミステリー、そしてラスト一行で世界が反転する短編アンソロジーまで、バラエティ豊かな5冊をご紹介します。
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京都今出川の謎解きキッチンカー/入夏 紫音
京都・志桜大学に通う黒江古都は謎めいた同級生・初島一葉に誘われ、キッチンカーで働くことに。確かな料理の腕と優れた洞察力をもつ一葉は、絶品メニューを披露しながら、街で起こる不思議な出来事の謎を解き明かす。縁日の日、なぜホットサンドは置き去りにされた? スリが屋台で使ったトリックとは? 営業と推理を重ねる二人だったが、予想外のネット炎上に巻き込まれ……。
(宝島社文庫 / 840円 / 2026年5月7日発売)
「このミス」大賞シリーズということで、気になって真っ先にチェックしてしまいました。舞台が京都というのもポイント高くて、京都らしい情緒のある街並みとキッチンカーの組み合わせが、なんとも新鮮です。
謎めいた同級生・初島一葉が料理と洞察力の両方に長けているというのも面白い設定だと思います。日常の「なぜ?」を解き明かしていく日常ミステリーで、縁日のホットサンドやスリのトリックといった身近な謎が積み重なっていくのが楽しそうです。「予想外のネット炎上に巻き込まれ……」という引きも気になります。ライトに読めそうなのに、ちゃんとミステリー的な仕掛けがありそうですね。
どんなコンビ像が待っているのか、楽しみです。

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私雨邸の殺人に関する各人の視点/渡辺 優
嵐で別荘に閉じ込められた訳ありの11人。持ち主の資産家老人が密室で殺された。ミステリ好き大学生、雑誌編集者、無職金髪のチャラ男、自殺に失敗した謎の青年など、たまたま集ったはずなのに、メンバーに意外な関係性があった。だが、事件を解決するはずの名探偵が……いない。一体誰が事件を解決してくれるのか? 読み出すと止まらない新感覚ミステリ!
(双葉文庫 / 935円 / 2026年5月13日発売)
「名探偵が……いない」という一文で完全に心を掴まれました。クローズドサークルものは大好きなのですが、探偵不在というのは確かに新感覚で、読む前からどういう展開になるのか気になって仕方ありません。
嵐の別荘に集まった11人という設定自体はオーソドックスですが、「たまたま集ったはずなのに、メンバーに意外な関係性があった」という引きが絶妙です。それぞれの視点から事件に迫るという構成も、一枚岩ではない登場人物たちの思惑が交錯しそうで、読んでいるうちに自分も謎解きに参加しているような感覚になりそうです。
単行本が2023年に出ていた作品の文庫化なので、気になりつつ後回しにしていた方にも今がチャンスかもしれません。935円というお手頃価格も嬉しいです。

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黒蜥蜴/三島由紀夫
「そして最後に勝つのはこっちさ」 名探偵明智小五郎と美貌の女賊、黒蜥蜴の華麗なる対決── 江戸川乱歩が著した傑作小説を三島由紀夫が戯曲化した、妖しくも美しい名作。 二の腕にあざやかな黒蜥蜴の刺青を持つ妖艶で美貌の女賊、黒蜥蜴と名探偵明智小五郎が、誘拐された宝石商の令嬢と「エヂプトの星」と呼ばれる秘蔵のダイヤモンドをめぐって対決する。しかし、追い、追われるうちに、いつしかふたりの……
(創元推理文庫 / 880円 / 2026年5月9日発売)
江戸川乱歩の傑作小説を三島由紀夫が戯曲化した作品が、東京創元社から文庫化されるとのことで見逃せませんでした。乱歩×三島という組み合わせ、それだけで何か特別なものになっているのは間違いないと思っています。
名探偵・明智小五郎と黒蜥蜴の関係が「追い、追われるうちに……」と含みを持たせているのも気になるところです。単純な善対悪の対決ではない、妖艶で複雑な関係性が描かれているのでしょうか……。「妖しくも美しい名作」という紹介文の言葉からして、独特の世界観が漂っていて、気になり始めたら止まりませんでした。
880円というお手頃な価格なのも嬉しいです。まっさらな状態で飛び込んでいきます。

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ヒミコの暗号(上)/伊勢谷 武
祖母の遺した暗号文に導かれた東大生・叶羽。それは記紀や風土記の行間に封じられた“語られてこなかった日本〞への扉だった。AI「チャットベリタス」が照らし出したのは、改竄された神話、そして抹消された記録。叶羽は“誰かが語らせなかった物語〞が、この国には確かに存在していた事実にたどり着く。その中心にいたのは、歴史から抹消された“名もなき女王〞。封印された歴史とは何か。そしてーー邪馬台国はどこにあり、卑弥呼とは誰だったのか。真実を求める叶羽の旅がーーいま、始まる。
(宝島社 / 2,750円 / 2026年5月13日発売)
『アマテラスの暗号』の著者・伊勢谷武さんの最新作が上下巻同時刊行されるとのことで、気になってチェックしました。邪馬台国と卑弥呼というテーマ自体、日本史好きとしてはもともと興味があるのですが、「300点以上の史料が暴く」というスケールの大きさに思わず手が止まってしまいました。
「記紀が封印した真実」とか「祖母の遺した暗号文に導かれた」とか、キーワードを並べるだけでわくわくしてきます。「『薔薇の名前』を凌ぐ衝撃の名著」という推薦文もずいぶん強気ですが(笑)、それだけ自信のある作品ということなのでしょう。ページ数がかなりありそうなので、じっくり腰を据えて挑みます。下巻は6月刊行予定とのことで、上巻を読み終えるころに続きが出るのもちょうどよさそうです。

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最後の一行 black/歌野晶午・麻耶雄嵩・東川篤哉・市塔承
【最後の一行】シリーズ第2弾。ラスト一行で世界が反転する短編アンソロジー。市塔承「プカプカ島」言語をめぐる冒険譚。伝染病を治癒する卵を産み落とす鳥を追い、一行は島へと向かうーー。歌野晶午「邪魔者」仲の良い母娘を襲った悲劇。愛憎の物語が迎える、戦慄の幕切れーー。麻耶雄嵩「雷鳴と稲妻」「曰く」が集まる山間のペンション。銘探偵メルカトル鮎の犯人当てが導くのはーー。
(講談社 / 1,870円 / 2026年5月20日発売)
「ラスト一行で世界が反転する」というコンセプトだけで、手が止まってしまいました。どんでん返しが好きなので、このキャッチフレーズが刺さりすぎます。
歌野晶午さん、麻耶雄嵩さん、東川篤哉さんという顔ぶれを見た瞬間、カートに入れていました。特に麻耶雄嵩さんの「雷鳴と稲妻」に銘探偵メルカトル鮎が登場すると知って……これはもう読まないわけにはいきません。「ラスト一行で世界が反転」するという約束のもとに、この方々が書いた短編が並んでいるなんて、想像するだけでわくわくします。
短編集なので隙間時間にも読みやすいのが嬉しいポイントです。それぞれの作家がどんな「最後の一行」を用意してくれているのか、今から心待ちにしています。

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まとめ / おわりに
今月は探偵不在の新感覚クローズドサークルから、古典の名作文庫化、日常ミステリー、歴史の謎解き、そしてラスト一行で世界を反転させる短編アンソロジーまで、バラエティ豊かな5冊になりました。改めて並べてみると、オーソドックスな設定を大胆に崩した『私雨邸の殺人』や、乱歩×三島という異色コラボの『黒蜥蜴』、豪華作家陣の競演である『最後の一行 black』など、ミステリーというジャンルの懐の深さを改めて感じます。
新しい出会いがどんな読書体験をもたらしてくれるのか、今から楽しみです。読了した作品は順次レビューしていきますので、またブログに遊びに来ていただけると嬉しいです。
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