澤村伊智の全作品まとめ【2026年版】どれから読む?シリーズ・おすすめ作品ガイド

konoha 選書ガイド

本棚の住人、Konohaです。

澤村伊智さんの作品を初めて手に取ったのは、2025年の初めのことでした。映画「来る」の原作として話題になっていた『ぼぎわんが、来る』が気になっていたのですが、「読んだらトラウマになる」「夜中に読むのは禁止」という声をいくつも目にして、しばらく躊躇していたんです。

それでもホラー×ミステリーへの好奇心が勝って読んでみると、想像していたのとは少し違う手触りがありました。純粋な「恐怖体験」というよりも、ホラーという素材をミステリーの骨格で組み上げたような作品で、「こういうものか」という新鮮さがありました。続けて『ずうのめ人形』を読んだときに「そういうことか!」となって、一気に引き込まれた感じです。

気づいたら比嘉姉妹シリーズを中心に読み進めていて、2025年末にはほぼ読破してしまっていました。今回は2026年6月時点の情報で、全作品をシリーズ別に整理してみます。


澤村伊智という作家

澤村伊智さんは2015年、「ぼぎわんが、来る」で第22回日本ホラー小説大賞を受賞してデビューした作家です。

最大の特徴は、「ホラー」と「ミステリー」が対等に組み合わされた作風です。霊能者・比嘉姉妹を中心とした「比嘉姉妹シリーズ」では、民俗ホラー的な怪異と、謎を解く論理の快感が同居しています。ただ怖いだけではなく、「なぜそれが起きているのか」「どうすれば防げるのか」を追う構造があって、ホラーが苦手な方でも入りやすい作風だと思います。

ホラー×ミステリーが好きな方には、本当に好みど真ん中の作家です。三津田信三さんのファンで次に読む作家を探している方にも、真っ先におすすめしたい名前です。三津田信三さんの作品ガイドは[こちらの記事]もあわせてどうぞ。


**澤村伊智を初めて読む方へ。まずはこの一冊から。**

どの作品から読もうか迷ったら、比嘉姉妹シリーズ第1作『ぼぎわんが、来る』から始めることをおすすめします。これ一冊で、澤村伊智という作家の世界観がすべてわかります。

Amazon.co.jp: ぼぎわんが、来る 比嘉姉妹シリーズ (角川ホラー文庫) 電子書籍: 澤村伊智: Kindleストア
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シリーズ別作品紹介

1. 比嘉姉妹シリーズ

澤村伊智さんの代表作。最強の霊媒師・**比嘉琴子**と、その妹・**真琴**を軸に、さまざまな怪異に挑む物語です。

真琴と彼女のパートナーである野崎昆が主要キャラクターとして各作品に登場しつつ、語り手や事件は作品ごとに変わります。シリーズを通じて読むと、比嘉家という一族の歴史が少しずつ明らかになっていく構造があって、後半の作品になるほど深みが増していく印象です。長編・短編集・中篇集と形式も様々で、2026年時点で前日譚を含む9作が刊行されています。

幸せな新婚生活を営んでいた田原秀樹の会社に、とある来訪者があった。取り次いだ後輩の伝言に戦慄する。それは生誕を目前にした娘・知紗の名前であった。正体不明の噛み傷を負った後輩は、入院先で憔悴してゆく。その後も秀樹の周囲に不審な電話やメールが届く。一連の怪異は、亡き祖父が恐れていた”ぼぎわん”という化け物の仕業なのだろうか?

(第1作『ぼぎわんが、来る』より)

比嘉姉妹シリーズについては、読む順番を含めた詳しいガイドを別記事で公開予定です。

作品リスト

種別 タイトル 初出版年
長編① ぼぎわんが、来る2015年
長編② ずうのめ人形2016年
長編③ ししりばの家2017年
短編集①などらきの首2018年
短編集② ぜんしゅの跫2021年
長編④ばくうどの悪夢 2022年
中篇集さえづちの眼2023年
短編集③ すみせごの贄2024年
前日譚短編集ととはり屋敷2026年
長編④ざんどぅまの影2026年

**どれから読む?**:必ず第1作『ぼぎわんが、来る』から。そのあと『ずうのめ人形』まで読めば、このシリーズがどういうものかが体感できます。

ホラー×ミステリーを両方楽しみたい方に。正直、このシリーズを読まずに澤村伊智を語ることはできないと感じています。

Amazon.co.jp: ぼぎわんが、来る 比嘉姉妹シリーズ (角川ホラー文庫) 電子書籍: 澤村伊智: Kindleストア
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2. 比嘉姉妹シリーズの最新作

2026年に入り、比嘉家の歴史を掘り下げる新作が続けて刊行されました。

ととはり屋敷(2026年)

最強の霊能者・比嘉琴子には6人の弟妹がいた。だが、生き残ったのは真琴だけ。弟の双子・龍也と虎太を襲ったキャンプ場の惨劇、その下の弟の肇が挑んだ少年野球チームの怪、末子の栞が命がけで対峙した凶悪な獣——家族の歴史を紐解く、比嘉姉妹シリーズの前日譚となる短編集。

これまで断片的にしか語られなかった比嘉家の歴史が描かれる前日譚短編集です。比嘉姉妹シリーズを読み進めてきた方には見逃せない一冊。現在積読中で、近いうちに読む予定です。

**こんな方に:** 比嘉姉妹シリーズを読んできた方で、比嘉家の歴史に興味を持った方に。

Amazon.co.jp: ととはり屋敷 比嘉姉妹シリーズ (角川ホラー文庫) 電子書籍: 澤村伊智: Kindleストア
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ざんどぅまの影(2026年)

1981年、神奈川県Q区。沖縄からの移住者が暮らす街で新生活を始めた篤は、ある夜、全身ずぶ濡れの人影を目撃する。その日を境に、Q区の住民が次々と”自宅で海水に溺れ死ぬ”という異様な死を遂げていく。街が疑心暗鬼に包まれる中、篤は”おばぁ”と呼ばれる比嘉勝子のもとを訪ねるーー。

比嘉家の祖先にあたる「比嘉勝子」が登場する関連作品です。沖縄からの移住者コミュニティを舞台にした物語で、「自宅で海水に溺れ死ぬ」という怪異の設定からして只ならない雰囲気があります。こちらも積読中です。

**こんな方に:** 比嘉姉妹シリーズを読んできた方で、比嘉家の起源に興味を持った方に。

Amazon.co.jp: ざんどぅまの影【電子特典「手書きメッセージ」付き】 (角川書店単行本) 電子書籍: 澤村伊智: Kindleストア
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注目の単独作品

比嘉姉妹シリーズ以外にも、読みごたえのある作品が多数あります。読了済みのものは感想つきで紹介します。

予言の島(2019年)

瀬戸内海の霧久井島は、かつて一世を風靡した霊能者・宇津木幽子が生涯最後の予言を遺した場所。彼女の死から二十年後、《霊魂六つが冥府へ堕つる》というーー。天宮淳は、幼馴染たちと興味本位で島を訪れるが、やがて滞在客の一人が遺体で見つかる。すべての謎が解けた時、あなたは必ず絶叫する。

比嘉姉妹が登場しない、単独の長編ミステリーです。

本書には綾辻行人さんのコメント「初読はミステリ、二度目はホラー」が添えられていて、これだけで読む気持ちが高まりました。孤島のクローズドサークルとして丁寧に謎解きが進みつつ、ラストでそれが「ホラー的な解釈」へとひっくり返る仕掛けがあって、澤村伊智さんの別の面が見えた作品でした。

**こんな方に:** 孤島もの・クローズドサークルミステリーが好きな方に。ホラーとミステリーを両方楽しみたい方の入り口にもなります。

澤村伊智さんが「純粋なミステリー」に挑んだ作品として、シリーズとは違う楽しさがある1冊です。

Amazon.co.jp: 予言の島 (角川ホラー文庫) 電子書籍: 澤村伊智: Kindleストア
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邪教の子(2021年)

舞台はどこにでもある平凡なニュータウン。そこにカルト教団の影が忍び込む——ホラーとサスペンスの両面から描かれる社会派長編。

比嘉姉妹シリーズとは異なり、カルト教団をテーマにした社会派ホラーです。「どこにでもある日常」に忍び込む恐怖という設定は、比嘉姉妹シリーズとは違う怖さがありそうで、気になっている一冊です。まだ読めていないので、いずれ読んで感想を書く予定です。

**こんな方に:** 社会問題としてのカルト・信仰をテーマにしたホラーに興味がある方に。

Amazon.co.jp: 邪教の子 (文春e-book) 電子書籍: 澤村 伊智: Kindleストア
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怖ガラセ屋サン(2021年)

怪談は作りものだと笑う者、他人の不安や怖気に付け込む者、いじめを隠す子供……。こんなヤツらに”一瞬の戦慄”なんて生ぬるい!「怖ガラセ屋サン」はナメたやつらが大好物。狙ったら最後、あの手この手で恐怖どん底へーー。

比嘉姉妹シリーズ以外で、個人的にいちばん印象に残っている作品です。

「怖がることをナメている人」たちが容赦なく追い詰められていくという設定がとにかく秀逸で、読み始めたら止まらなくなりました。各話の主人公が「ホラーは嘘だ」「自分には関係ない」と高を括っているところへ、静かに、じわじわと恐怖が忍び込んでくる構造が巧みで、全話読み終えたあともしばらく頭に残りました。

**こんな方に:** 「ホラーはあまり得意じゃないけど澤村伊智が気になる」という方に。ブラックユーモアと恐怖が混ざった読み心地が好きな方にも。

これは本当に好みど真ん中でした。シリーズ以外で1冊だけ選ぶなら、まずこれを読んでほしい作品です。

Amazon.co.jp: 怖ガラセ屋サン (幻冬舎文庫) 電子書籍: 澤村伊智: Kindleストア
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怪談小説という名の小説怪談(2022年)

深夜の高速道路で語られる百物語、学校を彷徨う伝説の幽霊、禁忌を犯してしまった夫婦——古今語り継がれる「怪談」の数々を、ホラー界の旗手が戦慄のアップデート。「小説」ならではの企みに満ちた、著者真髄特濃短編集。

タイトルの通り、「怪談」と「小説」の関係そのものをテーマにしたような短編集です。

各話が「怪談という語り形式」をメタ的に意識した構造になっていて、純粋にホラーを楽しむというよりも、「怖い話とは何か」を問いかけてくるような読み心地でした。個人的には比嘉姉妹シリーズのほうが好みなのですが、「小説としての怪談」の形式や仕掛けに興味がある方には新鮮な読書体験になると思います。

**こんな方に:** 怪談や怖い話の「語り方・形式」自体に興味がある方、または澤村伊智さんのいろいろな面を見たい方に。

「怪談とは何か」を考えながら読む体験は、比嘉姉妹シリーズとは一味違う楽しさがあります。

Amazon.co.jp: 怪談小説という名の小説怪談 (角川ホラー文庫) 電子書籍: 澤村伊智: Kindleストア
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斬首の森(2024年)

わたしは今すぐ逃げなければならない。あいつらから、この森から。——暗い森の中に建つ合宿所。ある団体の”レクチャー”を受け洗脳されかけていたわたしは、火事により脱出する。五人で町へ逃げだそうとするが、不可解な森の中で迷ってしまう……。

カルト・洗脳・森という組み合わせがただならない雰囲気を醸し出す長編ホラーです。

「逃げられない森」という密閉空間と恐怖の組み合わせは、比嘉姉妹シリーズとは全く違う緊張感がありそうで、気になっています。未読なのでいずれ読んで感想を追記する予定です。

**こんな方に:** サバイバルホラー・閉鎖空間の恐怖が好きな方に。

Amazon.co.jp: 斬首の森 電子書籍: 澤村 伊智: Kindleストア
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頭の大きな毛のないコウモリ(2024年)

ホラー映画撮影スタッフを襲う悪夢のような事件。元アイドルのバスツアー参加者たちが語る戦慄の一夜。保育士と母親の連絡日記から浮かび上がる歪んだ日常——みんな死ぬよ、誰も帰れない。

異形短編集という位置づけで、各話が様々な角度から「怖さ」に迫る短編集です。

タイトルのインパクトからして不穏で、読む前からすでに何かを感じさせます。保育士と母親の連絡日記という設定がとくに気になっています。未読です。

**こんな方に:** 澤村伊智さんの短編ホラーをいろいろな角度から楽しみたい方に。

Amazon.co.jp: 頭の大きな毛のないコウモリ 澤村伊智異形短編集 電子書籍: 澤村 伊智: Kindleストア
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キャリア年表

デビューから現在まで、単著(初出版のみ)を年代ごとにまとめました。

2010年代

タイトル 区分
2015 ぼぎわんが、来る比嘉姉妹シリーズ長編①
2016ずうのめ人形比嘉姉妹シリーズ長編②
2017恐怖小説キリカ単独長編
2017ししりばの家比嘉姉妹シリーズ長編③
2018などらきの首比嘉姉妹シリーズ短編集①
2019ひとんち単独短編集
2019予言の島 単独長編
2019ファミリーランド単独連作短編

2020年代

タイトル 区分
2020 うるはしみにくし あなたのともだち単独長編
2020 アウターQ 弱小Webマガジンの事件簿単独連作
2021 ぜんしゅの跫比嘉姉妹シリーズ短編集②
2021 あなたの後ろにいるだれか単独短編集
2021怖ガラセ屋サン単独短編集
2021 邪教の子単独長編
2022 怪談小説という名の小説怪談単独短編集
2022 ばくうどの悪夢比嘉姉妹シリーズ長編④
2023さえづちの眼比嘉姉妹シリーズ中篇集
2023 一寸先の闇 澤村伊智怪談掌編集単独掌編集
2024すみせごの贄比嘉姉妹シリーズ短編集③
2024 斬首の森単独長編
2024 頭の大きな毛のないコウモリ 単独短編集
2026 ざんどぅまの影比嘉姉妹シリーズ長編⑤
2026 ととはり屋敷 比嘉姉妹シリーズ前日譚

まとめ:どのシリーズから始める?

迷ったときのおすすめルートをまとめます。

こんな方におすすめの入り口まず読む一冊
ホラー×ミステリー両方楽しみたい**比嘉姉妹シリーズ**ぼぎわんが、来る
シリーズはハードルが高い、まず1冊試したい単独短編集怖ガラセ屋サン
ミステリー要素を重視したい単独長編予言の島
社会派ホラーが好き単独長編邪教の子
閉鎖空間・サバイバルホラーが好き 単独長編斬首の森

今回こうして全作品を整理してみて、改めて気づいたことがあります。邪教の子も、斬首の森も、頭の大きな毛のないコウモリも——比嘉姉妹シリーズを追うのに夢中になっていた間に、未読の単独作品がこんなにたくさんたまっていたのか、と。

比嘉姉妹シリーズ読破後の楽しみがまだまだ続くということでもあります。未読の作品は順次読み進めてレビューを書いていく予定ですので、またブログに遊びに来ていただけると嬉しいです。

比嘉姉妹シリーズの読む順番・各作品の詳しい紹介は、別記事でまとめています。

比嘉姉妹シリーズ読む順番ガイド

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