※本記事はAIを活用して作成し、管理人が内容を確認・編集しています。
本棚の住人、Konohaです。
『忌木のマジナイ』の感想レビューの最後で「残るは『邪宗館の惨劇』と、完結編の『化身の残夢』」と書いていました。シリーズでいちばん夢中になった『忌木のマジナイ』の熱が冷めないうちにと、続けて手に取ったのが今回の『邪宗館の惨劇』です。
舞台は、かつて宗教団体の信者たちが殺し合ったという山奥の廃墟。そこで起きる惨劇から、主人公はなぜか抜け出すことができません。怖さと謎解きはもちろん、読み終えたときには思わず胸がジーンとしていて、シリーズの中でも特別な1冊になりました。
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『邪宗館の惨劇』の評価
『邪宗館の惨劇』とは
一年前の火災事故で親友を失った天田耕平は、恋人と共に慰霊祭へと向かう途中にバスが事故を起こし、山道で立ち往生してしまう。 雨風をしのぐため他の乗客らと共に近くの廃墟へと避難するが、そこはかつてある宗教団体の信者が集団死したといういわくつきの建物だった。 その夜、乗客たちが次々に殺害される事件が発生。建物からの脱出を試みた耕平は、恐ろしい姿をした怪物に遭遇し意識を失う。……
2022年に角川ホラー文庫から刊行された、「作家・那々木悠志郎シリーズ」の4作目です。山道で立ち往生したバスの乗客たちが廃墟に閉じこめられる、クローズドサークルもののホラーミステリーで、物語の多くは主人公・天田耕平の視点で進みます。前作『ぬばたまの黒女』に登場した要素ともつながっていて、シリーズの大きな流れが少しずつ見えてくる1冊でもあります。
『邪宗館の惨劇』の見どころ
何度逃げても戻される、終わらない惨劇の夜
廃墟で乗客たちが惨殺され、怪物に襲われて意識を失った耕平。ところが目を覚ますと、彼は事故の直前のバスの中にいます。予知夢なのか、時間が戻ったのか。分からないまま、バスはまた事故を起こし、乗客たちはまたあの廃墟へ向かってしまいます。手を変え品を変えて逃げようとしても、行き着く先は同じ惨劇の夜。くり返すたびに状況が少しずつ変わっていくのに、どうしても抜け出せない絶望感が、ページをめくる手を止めさせてくれませんでした。
「邪宗館」と呼ばれる廃墟の不気味さ
乗客たちが逃げこんだのは、かつてある宗教団体の信者同士が殺し合い、「邪宗館」と呼ばれるようになった建物です。凄惨な事件の記憶が残る廃墟、霧の立ちこめる山道、建物に残された神像。舞台の設定を知った時点で「すごい舞台だ」とわくわくしてしまいました。建物を調べていくうちに見えてくる、この教団が何をしようとしていたのかという想像には、思わず背筋が寒くなりました。
那々木悠志郎は、このループにどう挑むのか
今回の那々木は、物語の途中から、ある刑事とともに邪宗館へやって来ます。何度もくり返される夜の中で、耕平以外は誰も覚えていない状況。そんな中で那々木は、耕平の話を「ありえない」で片づけず、ひとつずつ確かめていきます。怪異を頭から否定せず、それでいて冷静に筋道を立てていく那々木らしさが、今回もしっかり光っていました。この状況にどう立ち向かうのかが、物語の大きな見どころです。
『邪宗館の惨劇』の感想
序盤は、とにかく耕平の置かれた状況が絶望的でした。一緒に避難した人たちが次々と殺され、逃げても怪物に追いつかれ、気づけばまたバスの中。しかも、あっという間に全員が殺されてしまったり、時間の進み方がどこかおかしかったりと、くり返すたびに違和感が積み重なっていきます。「こんな状況で那々木が来ても、どうにかできるの?」と本気で心配になりながら読み進めました。
耕平と恋人の真由子の関係も、物語を引っぱる大きな軸です。一年前の火災事故をきっかけに、ふたりの間にはぎくしゃくした空気が流れていて、どちらも相手が変わってしまったと感じている。そのすれ違いが、くり返される夜の中で少しずつほどけていく様子に、ホラーを読んでいることを忘れて見入ってしまいました。
中盤からは、ループの中に予想外の人物が現れ、状況がどんどん変わっていきます。私は途中で「もしかしてこういうことでは……」とひとつ妄想を立てていたのですが、終盤で那々木の推理が披露されたときには、その予想が当たっていたうれしさと、それだけでは終わらない真相の驚きの両方を味わいました。さらにエピローグでもうひとつ驚かされて、どんでん返し度は迷わず★5です。
そして何より心に残ったのが、ラストシーンです。くり返される夜の果てに、耕平が本当に願っていたものが分かったとき、思わずジーンとしてしまいました。怖い話を読んでいたはずなのに、最後にこんなに温かい気持ちになるとは思っていませんでした。エピローグでは次の作品につながる伏線もしっかり張られていて、すぐにでも続きを読みたくなる終わり方です。
『邪宗館の惨劇』がおすすめな人
閉ざされた場所でくり返される惨劇や、ループものの謎解きが好きな方に。 怖いだけでなく、最後に心を揺さぶられるホラーミステリーを読みたい方にも、ぜひ手に取ってほしい1冊です。
一方で、次のような方には少し合わないかもしれません。
- 残酷な描写が苦手な方(犠牲者の遺体はかなり凄惨に描かれます)
- シリーズを読んでいない方(単体でも楽しめますが、前作『ぬばたまの黒女』とつながる要素があるので、先に読んでおくのがおすすめです)
それでも、くり返しの謎が解けたときの驚きと、ラストシーンで胸に残る温かさは、このシリーズを追いかけてきてよかったと思える読書体験でした。那々木悠志郎シリーズが好きな方なら、きっと特別な1冊になるはずです。
よくある質問
シリーズ4作目から読んでも大丈夫ですか?
事件そのものはこの1冊で完結するので、単体でも読めます。ただ、前作『ぬばたまの黒女』に登場した要素とつながる場面があり、知っていると「おっ」と思える瞬間が増えます。私は少なくとも『ぬばたまの黒女』を先に読んでおくのをおすすめします。できれば刊行順に『ナキメサマ』から読むと、那々木悠志郎というキャラクターをいちばん楽しめます。
グロテスクな描写はありますか?
あります。廃墟で殺される犠牲者の姿はかなり凄惨に描かれていて、シリーズの中でも残酷さは強めだと感じました。ただ、描写がしつこく続くタイプではなく、怪物に追われる緊張感や、逃げても戻されてしまう絶望感のほうが強く印象に残る作品です。
ループもの(タイムリープもの)として楽しめますか?
はい。同じ夜がくり返されるたびに少しずつ状況が変わっていくので、「今回は何が違うのか」を追いかける楽しさがあります。そして、なぜ夜がくり返されるのかという謎そのものが、物語の大きな仕掛けになっています。ループものが好きな方には、ホラーならではの答えの出し方を楽しんでほしいです。
怖いだけの話ですか?
いいえ、読み終えたときにいちばん残ったのは温かい余韻でした。主人公・耕平と恋人の真由子の関係が物語の大切な軸になっていて、ラストシーンでは思わずジーンとしました。怖さと切なさの両方を味わいたい方にこそ読んでほしい1冊です。
おわりに
『ナキメサマ』から始まった那々木悠志郎シリーズも、これで4作を読み終えました。どんでん返しの『ナキメサマ』、家族の物語でもあった『ぬばたまの黒女』、作中作で那々木の原点を描いた『忌木のマジナイ』、そしてくり返される惨劇の夜を描いた『邪宗館の惨劇』。今回は前作とのつながりも見えてきて、シリーズ全体の物語がぐっと動き出したように感じています。
そして完結編の『化身の残夢』も読み終えました。因縁の教団の本部を舞台に、これまでの4作で積み重ねてきたものが一気に動き出す、最後の事件にふさわしい1冊です。
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まだ『ぬばたまの黒女』を読んでいない方は、本作の前にぜひこちらからどうぞ。
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