2026年ミステリー・ホラー新刊まとめ|Konohaが気になった注目作品【随時更新】

2026年新刊情報 新刊情報

※本記事はAIを活用して作成し、管理人が内容を確認・編集しています。

本棚の住人、Konohaです。

2026年に発売されたミステリー・ホラー新刊の中から、私が気になった作品を月ごとにまとめているページです。新しい月の新刊が出るたびにこの記事へ追記していくので、その年に出た注目の新刊をあとからまとめて振り返りたいときにもぜひ活用してください。直近の月から順番に並べているので、まずは一番新しい月からチェックしてみてください。

なお、囁く逆婿のようなホラーミステリー、食べると死ぬ花のような「極上のホラーミステリ」と紹介される作品など、ミステリーとホラーの境界にまたがる作品も少なくありません。このページではジャンルで無理に分けず、気になった新刊をまとめてご紹介しています。

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2026年8月の新刊

8月はミステリー・ホラーどちらにも読み応えのある新刊が揃いました。人気シリーズの完結編から、本格ミステリ界の重鎮たちが太鼓判を押す新境地の作品、大御所・京極夏彦さんの「百鬼夜行」シリーズ文庫化、話題のモキュメンタリーホラーまで、気になる5冊をご紹介します。

連続殺人鬼カエル男 完結編/中山七里

「心神喪失者の行為は罰しない」刑法第39条vs連続殺人鬼。救うべきは誰かーー 凄惨な殺害方法と稚拙な犯行声明文で世間を震撼させた「カエル男連続猟奇殺人事件」。事件の関係者である有働さゆりは医療刑務所から脱走し行方不明のままだった。その頃、精神疾患を抱える殺人犯を無罪にした人権派弁護士が殺害される。遺体の傍らにはあの犯行声明文。

中山七里さんの代表シリーズの一つ「カエル男」が、ついに完結編を迎えます。「心神喪失者の行為は罰しない」という刑法39条をめぐる社会派のテーマと、猟奇的な連続殺人という娯楽性の高いミステリーが同居しているのが、このシリーズならではの魅力だと感じています。責任能力の有無で揺れる司法制度への問いかけを、ここまでエンターテインメントとして成立させられるのは、やはり中山さんの筆力あってこそだと思います。

これまで積み重ねられてきた「誰を救うべきか」という問いに、完結編でどんな決着がつくのか。シリーズを追ってきた読者にとっては見逃せない一冊になりそうです。まだ手に取ったことがない方も、完結編の発売を機にまとめて読み進めてみるのも良いかもしれません。


シュレディンガーの密室/麻根重次

扉を開いた瞬間、二人の生死が確定するーー「究極の選択」の物語(ミステリ)。 21世紀本格の絶望。ーー島田荘司 この書を先んじて推薦できることを至福に思う。「いいから、読みなさい」ーー竹本健治 SF設定でない、現実世界の事件だからこそ真価を発揮する”この”トリック、”この”動機ーーそして、このラスト。ーー法月綸太郎

島田荘司さん、法月綸太郎さん、竹本健治さんという本格ミステリ界の重鎮たちがこぞって推薦文を寄せているという時点で、期待せずにはいられません。「シュレディンガーの密室」というタイトルからして、量子力学の思考実験を密室トリックに落とし込んだ野心作だろうと想像が膨らみます。

法月さんの「SF設定でない、現実世界の事件だからこそ真価を発揮するトリック」というコメントが特に気になっていて、SFのギミックに逃げず、あくまで現実の論理で「究極の選択」を成立させているところに、本格ミステリとしての矜持を感じます。麻根重次さんという作家さんを読むのは今回が初めてですが、これだけの重鎮たちのお墨付きがある新境地の作品は、素通りできません。

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文庫版 完本 百鬼夜行 陰・陽/京極夏彦

揺るぎ無いはずの「日常」が乱れる時、人は心の奥に潜む「闇」と直面する。意識の底に産まれた「妖怪」が精神を喰らう。女の手を忌む教師。10糎程の小さな女を幻視する病気がちの女。自分を覗く視線に恐怖する職人。煙に憑かれた火消し。海を厭う私小説作家。人が出合う「恐怖」の形を多様に描き出す怪異譚ーー。

説明するまでもない大御所、京極夏彦さんの「百鬼夜行」シリーズが、陰・陽の2冊同時に文庫化されるという大きなニュースです。『姑獲鳥の夏』から始まる京極堂シリーズのサイドストーリーとして知られるこの短編集は、単体の事件ではなく、登場人物一人ひとりの内側に巣食う「妄執」や「疑心暗鬼」が妖怪という形をとって立ち現れる構成になっているのが特徴だと理解しています。

京極さんの作品はまだ数えるほどしか読めていないのですが、「日常が乱れる時、人は心の闇と直面する」という一文だけで、あの独特の分厚さと密度を持つ文体が思い浮かびます。陰・陽と2冊揃って並ぶと、それだけで棚に置いておきたくなる存在感があります。京極堂シリーズ本編を読んだことがある方はもちろん、まだ読んだことがない方にも、この短編集から入ってみるという選択肢もありかもしれません。

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るるぶ■■版 蓋ヶ瀬/柿

ネット上で浮かんでは消える「蓋ヶ瀬」という地名。所在地も行き方も一切不明。にもかかわらず飛び交う数々の噂。これは単なるネットミームなのか? それとも……。蓋ヶ瀬の全貌を再現すべく、一人の「るるぶ」編集部員が本書を手掛けた。栃木県足利市の施設の協力の下、進んでいく取材。

実はこの作品、先月の売れ筋ランキングでも話題になっていて、発売前から気になっていた一冊です。旅行情報誌「るるぶ」というブランドと、正体不明の著者「柿」さんが組んで作り上げる「モキュメンタリーホラー」という試み自体が異色で、実在の地域情報誌のフォーマットを借りて架空(あるいは本当に実在するかもしれない)の地名を取材していくという構成に、ネットロア的な怖さの気配を感じています。

栃木県足利市の施設が取材に協力しているという記述もあり、フィクションと現実の境界をあえて曖昧にしている作りが伝わってきます。実際にどこまで作り込まれているのか、8月末の発売が今から楽しみです。

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古典アメリカ幽霊譚傑作集/エドガー・アラン・ポオ、ワシントン・アーヴィング他(夏来健次 訳)

「悪魔に首を賭けてもいい」が口癖の若者が遭遇した異様な人物。強い絆で結ばれた少女二人の関係の変化と怪現象。小さな村に棲みついた奇妙な余所者をめぐる不可思議な逸話。ラヴクラフト登場以前、パルプマガジン隆盛期前にあたる18世紀末から19世紀にかけてアメリカで書かれた滋味豊かな幽霊譚13編を集成する。

ホラーの源流をたどるという意味で、これは外せないアンソロジーです。ラヴクラフトが登場する以前、つまりモダンホラーが確立する前のアメリカで書かれた13編を集めているという構成が贅沢で、文豪ポオやアーヴィングといった名前を眺めているだけでも背筋が伸びます。

現代のホラーが持つ「派手な恐怖」とは違う、じわじわと滲むような怖さが並んでいそうな予感がしていて、ホラーというジャンルがどんな土壌から育ってきたのかを確認する意味でも読んでおきたい一冊です。創元推理文庫らしい丁寧な訳者解説も期待できるので、海外ホラーの古典に触れてみたい方の入り口としてもおすすめです。

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そのほかの8月新刊

新刊情報

2026年7月の新刊

7月はミステリー・ホラーともに賑やかになった月でした。大好きな三津田信三さんの怪民研シリーズ最新作、若き旗手・阿津川辰海さんの本格ミステリ新作、”Z世代のアガサ・クリスティ”荒木あかねさんの短編集、そしてデビュー30周年を迎えた鬼才・小林泰三さんの未収録短編集と、気になる4冊をご紹介します。

囁く逆婿 怪民研に於ける記録と推理/三津田信三

怪異民俗学研究室の瞳星愛のもとに、後輩の百古里民恵から奇妙な相談が舞い込む。姉の婚礼に、代わりに出てほしいというのだ。しかも、姉はこの世を去っているのだという。相棒の天弓馬人に相談する愛だったが……。

大好きな三津田信三さんの新作が7月に登場します。「死者の婚礼に代役で出席してほしい」という依頼からして、もう三津田ワールド全開です。怪異民俗学研究室という舞台設定も独特で、民俗的な恐怖と謎解きが絡み合う読書体験が今から楽しみでなりません。

「怪民研」シリーズはまだ1作目しか読めていないのですが、三津田さんならではの理性では説明できない恐怖とロジカルな推理が同居する作風が堪らなく好きで、早く追いつきたいと思っていたところに今作の発売です。「しかも、姉はこの世を去っているのだという」……この一文だけで、どれだけの謎が詰まっているのか想像が膨らんでしまいます。これを機にシリーズをまとめて読み進めたいと思っています。

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少女は殺人の夢を見る/阿津川辰海

若手ナンバーワン”マニア”作家が、”本格愛”を惜しむことなく解き放つ! サークル<月夜のお茶の会>の読書会に参加した俺・獏田格は課題本のミステリー小説に酷似した「事件」に巻き込まれる。そこは二年生の先輩・夢見灯が作り出した「夢の世界」で、謎を解かなければ俺は現実に戻れない⁉ カー、クリスティー、クイーン、そして……。本格ミステリー界の若き旗手が先人たちを徹底オマージュ。

阿津川辰海さんといえば、本格ミステリへの深い愛情と緻密なトリック構築で知られる作家さんです。今回の設定が面白くて、「夢の世界でミステリー小説に酷似した事件に巻き込まれ、謎を解かなければ現実に戻れない」というもの。メタ的な構造と、本格ミステリの先人たちへのオマージュが絡み合う、とても贅沢な一冊になりそうです。

カー、クリスティー、クイーンという黄金時代の巨匠たちの名前が並んでいるだけで、ミステリー好きとしては読む前からにやりとしてしまいます。どんな仕掛けが待っているのか、まっさらな状態で飛び込んでいきたい一冊です。本格ミステリの仕掛けを楽しみたい方にぜひ。

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おむこさんは殺人鬼/荒木あかね

『此の世の果ての殺人』で江戸川乱歩賞を最年少受賞しデビュー、第2作『ちぎれた鎖と光の切れ端』で吉川英治文学新人賞候補、”Z世代のアガサ・クリスティ”の異名を持つミステリー界の新鋭・荒木あかねの待望の単著第3作は、”人生の謎”に同志と共に立ち向かう、痛快なミステリー作品集!

「おむこさんは殺人鬼」というタイトルの破壊力、気になり始めたら止まりませんでした。荒木あかねさんは『此の世の果ての殺人』でデビュー時から注目していた作家さんで、着想の鮮やかさと物語の勢いが大好きです。”Z世代のアガサ・クリスティ”という異名もなるほどと頷けるクオリティで、新作が出るたびに手が伸びてしまいます。

今回は単著の短編集ということで、荒木さんの多彩な引き出しを一冊でまとめて味わえるのが楽しみです。「”人生の謎”に同志と共に立ち向かう、痛快なミステリー作品集」という紹介文だけで、もう充分に読みたい気持ちになってしまいます。荒木あかねさんをまだ読んだことがない方には、この一冊が入口としてもおすすめです。

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此方より 小林泰三未収録短編集/小林泰三

幼少期、研究者の伯父が住む不気味な村で過ごした夏休み。伯父の家で目撃した奇妙な装置と、化け物の正体とは……(「此方より」)。「首輪で繋がれた少女がいた」――虐待疑いの通報を受け児相職員が訪れたマンションの1室。職員たちはそこで”1匹”の怪人と邂逅する……(「愛玩」)。若くして死去したホラー短編の鬼才・小林泰三。2026年は、「玩具修理者」での鮮烈デビューから30周年目にあたる。

「玩具修理者」でのデビューから30周年を記念して刊行される、小林泰三さんの未収録短編集です。小林さんのホラーは独特のグロテスクさと哲学的な思考が絡み合っていて、一度読むと忘れられない読後感が残ります。未収録という言葉にも、ファンとして嬉しさとわくわくが止まりません。

あらすじの「化け物の正体とは……」「怪人と邂逅する……」という言葉だけで、期待と怖さが半々の気持ちになります。小林泰三さんをまだ読んだことがない方には、デビュー30周年のこのタイミングが入口としてちょうど良いかもしれません。

読了後、実際に全14編を読んでの感想レビューも書いています。あわせてどうぞ。

→ [小林泰三『此方より』感想レビュー]

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そのほかの7月新刊

新刊情報まとめ

2026年6月の新刊

6月は梅雨入り前ということもあってか、なんとなく部屋にこもって本を読みたくなる新刊がミステリー・ホラーともにいくつも顔を出していました。読者への挑戦状を2回掲げる本格密室作品、13の密室と13のトリックに挑む超大作、そして横溝正史賞史上初の三冠受賞作という大正ホラーまで、気になる3冊をご紹介します。

案山子の村の殺人/楠谷 佑

案山子だらけの宵待村で、案山子に毒の矢が射込まれ、別の案山子が消失し、ついに殺人事件が勃発する。現場はいわゆる雪の密室の様相を呈していたーー。”楠谷佑”のペンネームでミステリを執筆する従兄弟の大学生コンビ、理久と真舟が、穏やかなはずの村で起きた連続殺人の謎に挑むシリーズ第一弾。本格推理の俊英が二度に亙る〈読者への挑戦状〉を掲げて謎解きの愉しみを満喫させる、スマートなロジックが魅力の推理巨編。

「案山子に毒の矢が射込まれ、別の案山子が消失し」というくだりから、もう雰囲気が最高です。案山子が立ち並ぶ村という設定だけで不気味なのに、雪の密室まで重なってくるとは……気になり始めたら止まりませんでした。

そして〈読者への挑戦状〉が二段階に分かれているというのが、本格ミステリ好きとしてはたまりません。辻真先さんが「これはその感動の記録です」と言い、有栖川有栖さんが「追いかけたくなる作家がまた一人増えた」と評している。この二人が揃って推薦している作品なら、信頼感が違います。

文庫化になったタイミングで手に取れるのも嬉しいです。じっくり腰を据えて挑みます。

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『石球城』殺人事件/北山 猛邦

凍てつく世界を旅する少年・ルーサは壁で囲まれた城塞都市・石球城に迷い込む。無数の石球が散らばり、永遠に夜が明けない閉ざされた街(クローズド・サークル)は、九人の王が支配し、十三の灯台とそこに住む巫女によって保たれていた。13の密室、13のトリックーー本格ミステリの最高到達点(トップ・オブ・トップ)!

「13の密室、13のトリック」——この一文だけで読む理由として十分すぎます。北山猛邦さんといえば、「物理トリック」という言葉がよく使われるイメージで、とにかく驚かせてくれる作家さんというイメージがあります。その北山さんが「本格ミステリの最高到達点」と銘打って挑んできた作品、というだけで心拍数が上がります。

「永遠に夜が明けない閉ざされた街」というクローズドサークルの設定も独特で、どこか幻想的な雰囲気が漂っています。単純な謎解きだけでなく、世界観そのものに惹き込まれそうな予感がしています。2,365円という価格もそれだけの読み応えがあると信じて、まっさらな状態で飛び込んでいきます。

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をんごく/北沢 陶

第43回横溝正史ミステリ&ホラー大賞 史上初の三冠受賞作! 大正時代末期、大阪船場。画家の壮一郎は、妻倭子の死を受け入れられずにいた。未練から巫女に降霊を頼んだがうまくいかず、「奥さんは普通の霊とは違う」と警告を受ける。巫女の懸念は現実となり、壮一郎のもとに倭子が現われるが、その声や気配は歪なものであった。倭子の霊について探る壮一郎は……

「史上初の三冠受賞作」という肩書きに加えて、「奥さんは普通の霊とは違う」という一文が刺さりました。

降霊に失敗して、それでも何かが現れた——でも、それは本当に妻なのか? 「声や気配は歪なものであった」という描写が、単純な幽霊譚ではない何かを予感させます。理性では説明できない、歪んだ存在の恐怖というのが、私が一番ぞくっとするタイプのホラーで、「をんごく」というタイトルの響きからしてすでに不気味で、それもポイント高いです。

大正時代の大阪船場という舞台設定も独特で、時代の空気感ごと味わえそうです。北沢陶さんの作品を読むのは今回が初めてです。どんな恐怖が待っているのか、期待と少しの怖さを抱えながら読み始めようと思います。

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そのほかの6月新刊

新刊情報

2026年5月の新刊

5月はゴールデンウィークが明けて日常が戻ってきたころ、気になる新刊がミステリー・ホラーどちらもちらほら顔を出していました。その中から4冊をご紹介します。探偵不在のクローズドサークルミステリー、比嘉姉妹シリーズ前日譚の短編集、豪華作家陣のホラーアンソロジー、そして乙一さんのデビュー30周年記念自選短編集まで、バラエティ豊かなラインナップです。

私雨邸の殺人に関する各人の視点/渡辺 優

嵐で別荘に閉じ込められた訳ありの11人。持ち主の資産家老人が密室で殺された。ミステリ好き大学生、雑誌編集者、無職金髪のチャラ男、自殺に失敗した謎の青年など、たまたま集ったはずなのに、メンバーに意外な関係性があった。だが、事件を解決するはずの名探偵が……いない。一体誰が事件を解決してくれるのか? 読み出すと止まらない新感覚ミステリ!

「名探偵が……いない」という一文で完全に心を掴まれました。クローズドサークルものは大好きなのですが、探偵不在というのは確かに新感覚で、読む前からどういう展開になるのか気になって仕方ありません。

嵐の別荘に集まった11人という設定自体はオーソドックスですが、「たまたま集ったはずなのに、メンバーに意外な関係性があった」という引きが絶妙です。それぞれの視点から事件に迫るという構成も、一枚岩ではない登場人物たちの思惑が交錯しそうで、読んでいるうちに自分も謎解きに参加しているような感覚になりそうです。

単行本が2023年に出ていた作品の文庫化なので、気になりつつ後回しにしていた方にも今がチャンスかもしれません。935円というお手頃価格も嬉しいです。


ととはり屋敷(9)/澤村伊智

最強の霊能者・比嘉琴子には6人の弟妹がいた。だが、生き残ったのは真琴だけ。弟の双子・龍也と虎太を襲ったキャンプ場の惨劇、その下の弟の肇が挑んだ少年野球チームの怪、末子の栞が命がけで対峙した凶悪な獣。住人不在となった比嘉家は、いつしか呪われた家として話題を集めていた。家に現れる「ととはり」という文字列と、人を襲う化け物の正体とはーー。家族の歴史を紐解く、比嘉姉妹シリーズの前日譚となる短編集!

紹介文に澤村伊智さんの名前を見つけた瞬間、迷わずチェックしてしまいました。比嘉姉妹シリーズはずっと追いかけているシリーズで、その前日譚となる短編集というのがまたいいんです。

「最強の霊能者・比嘉琴子には6人の弟妹がいた。だが、生き残ったのは真琴だけ」という書き出しだけで、もう怖さと悲しさが入り混じった読書体験が予感できます。シリーズを読んできた方なら、あのキャラクターたちの過去が描かれると知るだけで胸に来るものがあるのではないでしょうか。

キャンプ場の惨劇、少年野球チームの怪、凶悪な獣……それぞれの弟妹たちが対峙した恐怖が、短編集の形で明かされていくという構成も読みやすそうで、怖さの密度が凝縮されていそうです。そして「ととはり」という謎の文字列の正体が何なのか……想像するだけで、期待と少しの怖さが半々の気持ちになります。

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七人怪談(1)/加門七海・菊地秀行・澤村伊智・霜島ケイ・名梁和泉・福澤徹三

「これは、わたしが小学校の、高学年だった頃の話です」──少女が雑誌に投稿した、ある家族を襲った不気味な怪異の記録。悪化していく一方の父の怪我、何者かに乗っ取られ不気味な笑い声をあげる妹。そして親類たちの死。霊能者”マツシタサヤ”によって怪異は鎮められ、記録は締めくくられる。だが、この投稿を皮切りに、マツシタサヤを巡る不可解な記録が世に溢れはじめ……(澤村伊智「サヤさん」)。

加門七海さん、菊地秀行さん、澤村伊智さん、霜島ケイさん、名梁和泉さん、福澤徹三さん。この6名の名前が揃っているだけで信頼感が違います。ホラー好きなら思わず手が止まってしまうメンバーではないでしょうか。

あらすじは澤村伊智さんの「サヤさん」という作品から抜粋されているようです。少女の投稿をきっかけに、霊能者をめぐる不可解な記録が世に溢れ出す……という展開が、怪異の広がり方として絶妙に不気味です。それぞれの作家がどんな怪談を持ち寄るのか、読む前からすでに楽しみで仕方ありません。ホラーアンソロジーは各作家の個性が際立つのが魅力なので、今月の収穫としてぜひ手に取りたい一冊です。

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乙一デビュー30周年記念自選短編集1996-2026/乙一

乙一の真髄を味わう。1996年のあまりにも衝撃的なデビューから2026年の脂の乗り切った現在に至るまで。30年間に及ぶ全作品の中から乙一自らが選び抜いた珠玉の作品に加えて書き下ろしの「アテンド探し」を収録した傑作選!

乙一さんのデビュー30周年というだけで、もう特別な一冊だとわかります。1996年に19歳で「夏と花火と私の死体」でデビューし、その衝撃は今も語り継がれています。ZOO、GOTH……と独自のダーク世界観で読者の心を掴んできた作家が、30年間の全作品の中から「自ら選び抜いた」というのが最大の見どころではないでしょうか。

作家本人がいちばん伝えたい作品を集めたわけですから、読む前からその選択眼が気になってしまいます。さらに書き下ろし「アテンド探し」が収録されているのも見逃せません。30年の集大成と新作が同じ一冊に入っているというのは、ファンとしてはたまらない構成です。ホラー色の強い初期作からじっくり読み返したい方にも、初めて乙一作品に触れる方にも、どちらにとっても入り口になる一冊だと思います。

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そのほかの5月新刊

新刊情報

まとめ / おわりに

こうして並べてみると、探偵不在の新感覚クローズドサークルから、大好きな三津田信三さんの怪民研シリーズ、本格ミステリ界の重鎮たちが推薦する新境地の作品、そして澤村伊智さんの恐怖短編集や大御所・京極夏彦さんの文庫化まで、2026年もミステリー・ホラーというジャンルの懐の深さを感じさせてくれる新刊が続いています。

この記事は新しい月の新刊情報が出るたびに、一番上に追記していく形で更新していきます。読了した作品は順次レビューしていきますので、気になる本をブックマークしつつ、またこのページに遊びに来ていただけると嬉しいです。

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