※本記事はAIを活用して作成し、管理人が内容を確認・編集しています。
本棚の住人、Konohaです。
今回ご紹介するのは、香坂鮪さんの『まどろみの殺意』です。作品紹介には、今村昌弘さんのこんな推薦文が載っています。「欲しかったのは上質な睡眠。与えられたのは永遠の眠りと上質な謎。」。ちょうど『0秒前の彼女』を夢中で読み終えたばかりだったので、その今村さんのおすすめと知って、読む前から期待が高まりました。
舞台は、森の奥にある睡眠外来専門のクリニック。睡眠導入剤の治験の夜に、眠っていたはずの患者が亡くなります。思い返してみると、私が医療の現場を舞台にしたミステリーを読むのは、これが初めてだったかもしれません。
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『まどろみの殺意』の評価
『まどろみの殺意』とは
香坂鮪さんは、『どうせそろそろ死ぬんだし』で第23回『このミステリーがすごい!』大賞・文庫グランプリを受賞してデビューしたミステリー作家です。現在も循環器を専門とする病院に勤め、心筋梗塞や脳梗塞の治療に携わっているそうです(出典:紀伊國屋書店ウェブストア)。本作は2026年9月に宝島社文庫から刊行された最新作で、シリーズものではない単独の長編です。帯には今村昌弘さんと方丈貴恵さんが推薦文を寄せています。
『まどろみの殺意』の見どころ
眠りがすべて記録されている夜の、不可解な死
治験に参加した患者たちは、全員が眠りの状態を測る機器をつけて、それぞれの部屋で眠りにつきます。いつ眠り、いつ寝返りを打ったのかまで記録されているので、誰がいつ部屋を出たのかもすぐに分かるはず。それなのに、患者のひとりが命を落としてしまいます。記録が正確であればあるほど、全員のアリバイが固まっていく。この「記録が事件を不可能にしている」状況が、とても魅力的な謎になっていました。
豪雨で孤立した、森の奥のクリニック
クリニックは、患者の眠りを妨げないよう森の奥に建てられていて、各部屋の防音もしっかりしています。そこへ大雨で橋が落ち、救急車も日勤のスタッフもたどり着けなくなる。冒頭には館内図もついていて、まさにクローズドサークルの舞台です。読みながら思わず「殺人事件の舞台にぴったりではないですか」とつぶやいてしまいました。
医療の現場を知る人だからこそ書ける描写
心臓が止まった患者に、医師と看護師たちが総出で救命処置を行う場面は、読んでいるこちらまで息が苦しくなるほどの緊迫感でした。亡くなった患者の体を整えるケアや、ほかの患者たちへの説明といった、事件のあとの医療スタッフの仕事まで丁寧に描かれています。そして謎解きでも、医療の知識があるからこそ気づける違和感が大きな手がかりになっていきます。
『まどろみの殺意』の感想
物語は、クリニックの看護師である「私」の目線で進みます。治験が始まるまでの流れや、眠りを測る機器の説明がていねいに描かれているので、読んでいるうちに自分もクリニックのスタッフになったような気持ちになりました。
そこへ鳴り響くアラーム。患者の心臓が止まっていると分かってからの救命処置の場面は、手に汗をにぎりながら読みました。看護師さんたちは本当に大変な仕事をしているんだな、と改めて感じた場面でもあります。そして、誰にも犯行ができなかったように見えるのに、ミステリー好きの患者が「本当に病気で亡くなったのか」と言い出したあたりから、物語は少しずつ謎解きの色を濃くしていきます。
私がいちばん好きなのは、医師の水巻が真相を語り始める場面です。警察に任せればいいのに、なぜ今それを話すのか。その理由が「患者さんたちに、恐怖を抱えたまま帰ってほしくないから」というのが、睡眠にこだわり続けるこのお医者さんらしくて、すっかり好きになってしまいました。医療の現場ならではの違和感から、ひとつずつ手順を確かめるように真相へ近づいていく推理は、とても納得感がありました。
冒頭の館内図が、ただの雰囲気づくりではなかったと分かったときにも「なるほど」と声が出ました。最後のページまで気を抜かずに読んでほしい1冊です。
『まどろみの殺意』がおすすめな人
豪雨や孤島で閉ざされた場所で起きる事件、いわゆるクローズドサークルものが好きな方に。 医療や病院を舞台にしたミステリーを読んでみたい方にもぴったりです。私のように医療ミステリーは初めてという方でも、用語や機器の説明が丁寧なので安心して読めます。
一方で、次のような方には少し合わないかもしれません。
- ホラーのような怖さを求めている方(不穏な空気はありますが、怪異や心霊の要素はありません)
- 派手なアクションや、テンポの速い展開を楽しみたい方(治験の流れや医療の場面を、じっくり積み重ねていく物語です)
それでも、救命処置の緊迫感と、医療の知識が鍵になる謎解きの組み合わせは、この著者にしか書けないものだと感じました。「眠っているあいだに起きた殺人」という設定に少しでも惹かれた方は、ぜひ手に取ってみてください。
よくある質問
医療の専門用語が多くて、難しくありませんか?
治験の流れや、眠りを測る機器、救命処置の場面など、医療ならではの言葉はたくさん出てきます。ただ、看護師の「私」の目線でひとつずつ説明してくれるので、医療の知識がない私でもつまずかずに読めました。むしろその説明が、あとの謎解きの大事な手がかりにもなっています。
怖い場面や残酷な描写はありますか?
人が亡くなる場面はありますが、血が流れるような残酷な描写はほとんどありません。どちらかというと、救命処置の場面の緊迫感や、孤立したクリニックで次は誰が……という不安のほうが印象に残りました。ホラーが苦手な方でも読めるミステリーです。
香坂鮪さんのデビュー作から読んだほうがいいですか?
その必要はありません。本作はシリーズものではない単独の長編なので、この1冊から読んで大丈夫です。私も香坂鮪さんの作品を読むのは本作が初めてでしたが、まったく問題なく楽しめました。
犯人当てに挑戦できるタイプのミステリーですか?
はい、挑戦しがいがあると思います。眠りの記録や館内図など、手がかりは読者の前にきちんと並べられています。ただ、医療の現場を知っているからこそ気づける違和感も鍵になるので、私はすっかり作中の「私」と同じところで迷わされました。冒頭の館内図は、ぜひ手元に置きながら読んでみてください。
おわりに
初めての医療ミステリーでしたが、病院の空気や、患者を救おうとする人たちの姿がリアルに伝わってきて、謎解き以上に心に残る場面がたくさんありました。香坂鮪さんの作品を読むのはこれが初めてです。山荘や孤島の別荘を舞台にしたデビュー作『どうせそろそろ死ぬんだし』と2作目『みんななにかに縋りたい』も、ぜひ読んでみたくなりました。
帯で本作をすすめていた今村昌弘さんの最新作『0秒前の彼女』のレビューもあわせてどうぞ。
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