※本記事はAIを活用して作成し、管理人が内容を確認・編集しています。
本棚の住人、Konohaです。
先日レビューした『屍人荘の殺人』に続いて、シリーズ2作目の『魔眼の匣の殺人』を読み返しました。1作目は展開をよく覚えていたのですが、こちらは細かいところをほとんど忘れていて、ほぼ初めて読むような新鮮な気持ちで楽しめました。
前作ではゾンビがクローズドサークルを作りましたが、今回、葉村と比留子を閉じ込めるのは「予言」です。超常的な設定を謎解きにどう組み込むのか、今村昌弘さんの発想にまた驚かされた一冊でした。
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『魔眼の匣の殺人』の評価
『魔眼の匣の殺人』とは
『魔眼の匣の殺人』は、2019年に東京創元社から刊行された、今村昌弘さんの屍人荘の殺人シリーズ第2作です。デビュー作の『屍人荘の殺人』に続いて各ミステリーランキングでも上位に入り、「本格ミステリ・ベスト10」2020年版で国内2位、「このミステリーがすごい!」2020年版と「週刊文春ミステリーベスト10」2019年で国内3位に選ばれました。2022年には創元推理文庫から文庫版が出ています。
『魔眼の匣の殺人』の見どころ
予言を信じる人たちが作る、新しいクローズドサークル
前作でゾンビという大胆な方法を使った今村さんが、今回用意したのは「予言」です。予言者の老女・サキミが告げたのは、「十一月の最後の二日間に、この地で男女が二人ずつ、四人死ぬ」という言葉。施設へ渡る唯一の橋が落ち、葉村たちは山奥の「魔眼の匣」から出られなくなります。犯人が仕組んだ密室ではなく、予言を恐れる気持ちそのものが人を閉じ込めてしまう。「クローズドサークルを作る理由が、今回もこんなに新しいのか」と感心しました。
本物の予言があるからこそ、人が人を疑い始める
この物語の予言は、ただの思わせぶりな言葉ではありません。サキミに加えて、客の一人である女子高生・十色にも未来を見る力があり、彼女がスケッチブックに描いた絵は、その直後に現実になります。予言が本当に当たるのなら、残りの死者は誰なのか。「自分が死ぬくらいなら」と考える人が出てきてもおかしくない状況で、閉じ込められた人たちのあいだに少しずつ疑いが広がっていきます。犯人を推理するだけでなく、「予言がある世界で、人はどう動くのか」まで考えさせられるところが、本作ならではの面白さです。
剣崎比留子と葉村譲、二人の関係
前作で出会った葉村と比留子が、今回は二人で調査に向かいます。比留子に置いていかれそうになった葉村が、自分も行くと訴えて同行するところから始まるのが、ちょっと微笑ましいです。比留子がときどき挟む、嫉妬まじりのような冗談も楽しく、息の詰まる展開のなかでほっとさせてくれます。事件だけでなく、二人の距離感の変化もシリーズを追う楽しみのひとつです。
『魔眼の匣の殺人』の感想
序盤から、不穏な空気がじわじわと積み重なっていきます。施設へ向かうバスの中で起きた小さな出来事が、乗り合わせた高校生のスケッチブックにすでに描かれていた。たどり着いた集落には、なぜか住人が一人もいない。ここで「予言は本物なのかもしれない」と思わされる仕掛けが、とても上手いと感じました。
予言の内容が明かされ、橋が落ちたあとは、緊張感が一気に高まります。人の手が入る余地のない形で一人目が亡くなったとき、「これで、予言を疑う理由がなくなってしまった」とぞっとしました。そこから先は、残りの犠牲者が誰になるのかという恐怖と、それでも事件を起こすのは人間なのでは、という疑いが入り混じって、目が離せませんでした。
中盤で、ある人物が口にする考え方にはぞっとしつつも、「なるほど」と納得してしまいました。予言がある状況だからこそ成り立つ理屈で、この作品の怖さがいちばん表れている場面だと思います。比留子が「なぜ、逃げ場のない場所で殺人を起こすのか」と問いかける場面も、クローズドサークルものの定番の疑問に正面から向き合っていて、読んでいてわくわくしました。
解決編では、ある事件の検討から犯人が絞り込まれていく推理に「なるほど」と納得しました。そして最後の章では、それまで見えていたものの意味ががらりと変わります。思わず「やられた……」とつぶやいてしまいました。予言が本物であるという設定が、トリックだけでなく登場人物たちの動機にまで深く関わっていて、特殊設定ミステリーとしてとてもよくできていると思います。
『魔眼の匣の殺人』がおすすめな人
『屍人荘の殺人』を楽しめた方、そして超常的な設定を本格ミステリーの謎解きに組み込んだ「特殊設定ミステリー」が好きな方に。 予言の不気味さで読ませながら、最後はきちんと論理で決着をつけてくれる作品です。
一方で、こんな方には少し合わないかもしれません。
- 予言や予知能力といった超常的な要素を受け入れにくい、リアル志向のミステリーが好きな方
- 前作のような、ゾンビに追われるパニック映画のようなスリルを期待している方(今回は、閉じ込められた人たちが疑い合う心理戦が中心です)
予言に支配された匣のなかで、誰が、なぜ動いたのか。最後の章までたどり着いたとき、きっと「やられた」と思うはずです。ぜひ前作に続けて手に取ってみてください。
よくある質問
前作『屍人荘の殺人』を読んでいなくても楽しめますか?
事件そのものは本作だけで完結しますが、前作の出来事や登場人物の関係を前提に物語が始まります。冒頭から前作の結末に関わる話も出てくるので、『屍人荘の殺人』を先に読んでおくのがおすすめです。
前作のようにゾンビは出てきますか?
今回の特殊設定は「予言」と「予知能力」です。ゾンビのような存在に襲われる場面はなく、閉じ込められた人たちが予言におびえ、互いを疑い合う心理的なサスペンスが中心です。同じシリーズでも、怖さの種類がまったく違うと感じました。
予言が本物だと、推理ものとして成り立たないのでは?
そこが本作のいちばん面白いところです。予言は何でもありの便利な道具ではなく、どこまでのことができるのかがきちんと示されたうえで、謎解きのルールとして働きます。犯人の特定も論理的に組み立てられているので、読み終えたあとに「ずるい」と感じることはありませんでした。
シリーズの続きはありますか?
第3作の『兇人邸の殺人』が2021年に刊行されています。本作で深まった葉村と比留子の関係や、前作から続く謎がさらに描かれていくので、刊行順に読むのがおすすめです。
おわりに
忘れかけていた2作目でしたが、読み返してみると、前作に負けないくらい新しいクローズドサークルの作り方に驚かされました。超常的な設定をただの飾りにせず、謎解きと人の心の動きの両方に結びつけてくる今村さんの上手さを、あらためて感じた一冊です。いまはシリーズ3作目の『兇人邸の殺人』を読み返しているので、読み終えたらこちらもレビューする予定です。
シリーズ1作目『屍人荘の殺人』のレビューも書いています。まだの方は、ぜひこちらから読んでみてください。
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