※本記事はAIを活用して作成し、管理人が内容を確認・編集しています。
本棚の住人、Konohaです。
前回の『おどろしの森』のレビューに続いて、滝川さりさんの作品を1冊ずつ振り返っていきます。今回はデビュー作の『お孵り』です。第39回横溝正史ミステリ&ホラー大賞で〈読者賞〉を受賞した作品で、『あかずめの匣』をきっかけに滝川さりさんの作品を追いかけ始めて、「デビュー作も読んでおきたい」と手に取った1冊でした。
死んだ人は、赤ちゃんとなってまた生まれてくる。そんな言い伝えが残る村を舞台にした因習ホラーです。読みやすさとテンポのよさに、デビュー作から滝川さりさんらしさがしっかり詰まっていると感じました。
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『お孵り』の評価
『お孵り』とは
結婚の挨拶のため、婚約者・乙瑠の故郷を訪れた佑二。そこは生まれ変わりの伝説がある村だった。やがて乙瑠は村で里帰り出産をすることになったが、子供は生まれ変わりを司る神として村に囚われてしまい!?
2019年に角川ホラー文庫から刊行された、滝川さりさんのデビュー作です。第39回横溝正史ミステリ&ホラー大賞で〈読者賞〉を受賞しました。「卵から孵る老人」というアイデアと、生まれ変わりにまつわる都市伝説を掛け合わせて生まれた作品だそうで、タイトルの「お孵り」という言葉からして不気味です。シリーズものではないので、この1冊だけで楽しめます。
『お孵り』の見どころ
「死んだ人は生まれ変わる」と信じる村
婚約者・乙瑠の故郷である冨茄子村(ふなしむら)では、死んだ人はまた赤ちゃんとして生まれてくると信じられています。村の女性は村の外で出産しようとすると流産してしまう、三人目の子どもは産んではいけない……と、よそ者の佑二には理解できない決まりごとが次々に出てきます。乙瑠自身は村を嫌っているのに、出産となれば必ず村へ帰らなければならない。村から逃げたいのに、どこかで因習に縛られている乙瑠の姿が、じわじわと不穏さを積み上げていきます。
序章の惨劇と、「生まれ変わり」が重なる怖さ
物語は、かつて「舟無村」で一夜のうちに三十三人が殺された事件を伝える記事から始まります。津山事件を思わせるこの惨劇と、読みが同じ冨茄子村がどうつながるのか。序章から引っかかりを残したまま本編が進むので、最初から先が気になって仕方ありませんでした。津山事件をモチーフにした作品はたくさんありますが、そこに「生まれ変わり」という村の信仰を重ねることで、過去の事件が「終わったこと」にならない怖さが生まれています。この組み合わせの発想には感心しました。
子どもを取り戻すための、テンポのいい展開
あらすじのとおり、生まれてくる子どもは「生まれ変わりを司る神」として村に囚われてしまいます。そこから佑二がわが子を取り戻そうとする後半は、村の秘密を調べているという謎めいたライターも加わって、物語が一気に動き出します。場面の切り替えが速く、だらだらと停滞するところがないので、気づけば最後まで読み終えていました。
『お孵り』の感想
序章の三十三人殺しの記事から始まり、一章でいきなり「生まれ変わり」を信じる村の風習を見せつけられて、序盤から「この村、絶対にやばい……」とドン引きしながら読んでいました。とくに、乙瑠の姉が出産するときの家族の様子は、愛情なのか信仰なのか分からない異様さがあって、佑二と一緒に背筋が寒くなりました。
中盤は、謎めいたライターの登場で村の過去が少しずつ見えてきます。このライターがまた、情報を知りすぎていて「この人、本当に味方なの?」と疑いながら読む羽目になり、そのドキドキも楽しかったです。序章の事件と村の言い伝えが一本の線でつながっていく過程は、ホラーでありながら謎解きのような面白さもありました。
正直に言うと、終盤の展開はある程度予想がつく部分もありました。それでも退屈に感じなかったのは、文章が読みやすく、物語がテンポよく進んでいくからだと思います。あと少し捻りがあれば★5だったかな、というのが素直な気持ちですが、ラストの余韻も含めて「面白かった〜」と満足して本を閉じました。
後の『あかずめの匣』や『おどろしの森』を読んだ今振り返ると、村の因習、家族の物語、読みやすいテンポと、滝川さりさんの作品に共通する魅力がデビュー作の時点でもう出そろっていたんだなと感じます。
『お孵り』がおすすめな人
閉ざされた村の因習や、生まれ変わりの言い伝えにまつわるホラーを読みたい方に。 横溝正史ミステリ&ホラー大賞の受賞作を追いかけている方や、滝川さりさんの原点を知りたい方にもおすすめです。
一方で、次のような方には少し合わないかもしれません。
- 予想を裏切るどんでん返しを最大の楽しみにしている方(展開はある程度読めるタイプです)
- 出産や赤ちゃんにまつわる異様な描写が苦手な方(村の儀式の場面にはかなり生々しいものがあります)
「生まれ変わり」という言葉にぞくっとした方なら、この村の言い伝えがどんな恐怖に変わっていくのか、きっと最後まで見届けたくなるはずです。
よくある質問
『お孵り』はどのくらい怖いですか?
お化けが飛び出してくるような怖さではなく、村の人たちの信仰や風習の異様さにじわじわ追い詰められていくタイプの怖さです。序章の事件のような惨たらしい話も出てきますが、文章は読みやすく、ホラーにそれほど慣れていない方でも読み進められると思います。
津山事件を知らなくても楽しめますか?
はい、まったく問題ありません。作中の事件は架空のもので、必要な情報は物語の中できちんと説明されます。津山事件を知っている方なら、序章の記事を読んだ時点で「あの事件がモチーフかな」とピンとくるので、その分だけ不穏さが増すと思います。
ミステリー要素はありますか?
序章の三十三人殺しと村の言い伝えがどうつながるのか、という謎が物語を引っぱっていくので、謎が明かされていく面白さはあります。ただ、推理しながら読む本格ミステリーではなく、あくまで因習ホラーが主役です。謎解き寄りの滝川作品を読みたい方には、『あかずめの匣』のほうが合うと思います。
滝川さりさんの作品を初めて読むなら、デビュー作のこの本からがいいですか?
シリーズものではないので、どの作品から読んでも大丈夫です。村の因習ホラーが好きな方なら、この『お孵り』から入るのもおすすめです。仕掛けのある謎解きも含めて滝川さりさんらしさをいちばん味わいたいなら、私のいちばんのお気に入りである『あかずめの匣』から読んでみてください。
おわりに
『お孵り』を振り返ってみて、村の因習を恐怖に変える滝川さりさんの作風は、デビュー作から一貫しているのだと改めて感じました。この作品のあとに『おどろしの森』で家族とホラーバトル、『あかずめの匣』で謎解きの仕掛けと、作品ごとに新しい怖さを見せてくれるようになっていきます。原点を知ったうえで後の作品を読むと、その広がり方がいっそう楽しめるはずです。
滝川さりさんのほかの作品が気になった方は、滝川さりの全作品まとめもあわせてどうぞ。私のいちばんのお気に入りは『あかずめの匣』の感想レビューで紹介しています。
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