※本記事はAIを活用して作成し、管理人が内容を確認・編集しています。
本棚の住人、Konohaです。
今回は、三津田信三さんのデビュー作『忌館 ホラー作家の棲む家』のレビューです。実はこの本、読むのは2回目です。最初に読んだときの評価は★3でした。ところが、刀城言耶シリーズや幽霊屋敷シリーズなど三津田作品をたくさん読んできた今、ふと「原点をもう一度読んでみたい」と思って手に取ったところ、驚くほど印象が変わりました。
同じ本なのに、どうしてこんなに感じ方が変わったのか。そんな再読ならではの話も交えながら、ネタバレなしで感想をまとめていきます。
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『忌館 ホラー作家の棲む家』の評価
『忌館 ホラー作家の棲む家』とは
本格ミステリーとホラー融合の愉悦 “作家三部作”第一作。後日譚「西日」収録。主人公は”三津田信三”! 奇妙な原稿が、ある新人賞に投稿された。”私”は友人から応募者の名が「三津田信三」だと知らされるが、身に覚えがない。そのころ偶然に探しあてた洋館を舞台に、”私”は怪奇小説を書きはじめるのだが……。本格ミステリーとホラーが見事に融合する三津田信三ワールドの記念すべき最初の作品が遂に登場。
2001年に刊行された三津田信三さんのデビュー作で、作者と同じ名前の”私”が主人公になる「作家三部作」の1作目です。三部作は、このあと『作者不詳 ミステリ作家の読む本』『蛇棺葬』『百蛇堂 怪談作家の語る話』と続きます。現実の”私”のパートと、”私”が同人誌に連載する怪奇小説「忌む家」のパートが交互に進んでいく構成になっています。
『忌館 ホラー作家の棲む家』の見どころ
“私”の現実と、連載小説「忌む家」が交互に進む構成
“私”は同人誌から怪奇小説の連載を頼まれ、散歩の途中で見つけた洋館「人形荘」を舞台にした「忌む家」を書き始めます。物語はその「忌む家」の第1回、第2回……と、現実の”私”の日常が交互に描かれていきます。「忌む家」の主人公は、洋館に引っ越してきた小学生の少年。毎回いちばん気になるところで次の回へ持ち越されるので、まるで本当に連載を追いかけているような気分で、続きが気になって仕方ありませんでした。
作家・三津田信三の”日常”が、いつの間にか怪談になっていく
主人公の名前も経歴も、作者本人と同じ。小説の書き方の工夫や、同人誌の作家仲間とのやり取りなど、執筆の裏話をのぞき見しているような場面がたくさんあります。だからこそ、”私”の日常に少しずつ混ざり始める違和感が妙にリアルで、どこまでが本当でどこからが小説なのか、読んでいるこちらまで分からなくなっていきます。
ミステリ好きにはたまらない、本と作家の話
作中では、江戸川乱歩や横溝正史、ジョン・ディクスン・カーといった作家の話題がたびたび登場します。”私”が出会う愛読者の女性・綾子との乱歩談義や、連城三紀彦作品をめぐる熱いトークなど、物語の筋とは別に「本好き同士のおしゃべり」を楽しめるのもこの作品ならでは。三津田作品のファンなら、ある名前が出てきた瞬間に思わずニヤリとしてしまうはずです。
『忌館 ホラー作家の棲む家』の感想
まず、始まり方がとても不気味でわくわくしました。ホラー作品の新人賞の審査をしている友人から、「君の名前の登場人物が出てくる原稿が応募されてきた。しかも経歴や住所まで同じだ」と連絡が来る。自分で書いた覚えはまったくないのに、です。この時点でもう、ぞくっとしました。洋館を見つけるまでの風景描写もとても丁寧で、気づけば物語の世界にどっぷりと浸かっていました。
「忌む家」のパートでは、少年が洋館に足を踏み入れた瞬間に感じる「ぞっ」とする怖気の描写が見事です。ぞっとしたあとには必ず悪いことが起きる。そう知っている少年が、これまででいちばん強い怖気を感じてしまう。三津田さんは、この「何かがおかしい」と体が先に気づく感覚を書くのが本当にうまいと改めて感じました。そして現実の”私”のほうにも、奇妙な手紙が届いたり、書いた覚えのないものが手元にあったりと、少しずつ不可解なことが起き始めます。連載小説と現実のどちらが先に動いているのか分からなくなっていく中盤は、ページをめくる手が止まりませんでした。
初めて読んだときは、乱歩談義などの脱線部分が長く感じられて、正直少しうんざりしてしまいました。結末も、すべてがすっきり説明されるタイプではありません。その2点が引っかかって★3にしていたのですが、三津田作品をたくさん読んできた今は、どちらも「三津田さんらしさ」としてすんなり楽しめました。本の話が延々と続くのも、謎がひとつ残ったまま不気味な余韻で終わるのも、刀城言耶シリーズや幽霊屋敷シリーズでおなじみの味わいなんですよね。むしろ作中で熱く語られていた連城三紀彦さんが気になって、思わず読みたい本リストに追加してしまいました。
ラストは、ミステリーとしての答えとホラーとしての答えのどちらにも読める終わり方です。私は「この家の記憶のようなものに当てられた」というホラー寄りの解釈で受け止めましたが、きっと読む人によって受け取り方が変わる部分だと思います。デビュー作の時点で、三津田信三という作家の”ホラーとミステリーのあいだ”がもう完成していたんだと分かる、そんな再読になりました。
『忌館 ホラー作家の棲む家』がおすすめな人
刀城言耶シリーズや幽霊屋敷シリーズで三津田信三にはまった方に。 作中作や、現実と虚構の境目がぼやけていくメタな仕掛けが好きな方にも、ぜひ読んでほしい1冊です。
一方で、次のような方には少し合わないかもしれません。
- 謎がすべてきれいに解き明かされる結末を求める方(ホラーとしての余韻を残して終わります)
- 物語の筋と関係のない会話や蘊蓄が続くと退屈してしまう方(乱歩談義などの脱線が多めです)
それでも、作家・三津田信三のすべてはここから始まったんだと実感できる、ファンにとって特別な1冊です。三津田作品をいくつか読んでから手に取ると、初めて読む方も、私のように読み返す方も、きっと発見があるはずです。
よくある質問
三津田信三を初めて読むなら、デビュー作の『忌館』からがいいですか?
私は、最初の1冊なら刀城言耶シリーズの『首無の如き祟るもの』や、幽霊屋敷シリーズの『どこの家にも怖いものはいる』をおすすめします。『忌館』は、三津田作品の雰囲気に慣れてから読んだほうが、脱線部分や余韻の残る結末を「らしさ」として楽しめると、再読して実感しました。
「作家三部作」は順番に読む必要がありますか?
それぞれ独立した物語として読めますが、主人公の”三津田信三”は共通しているので、刊行順に『忌館』→『作者不詳』→『蛇棺葬』『百蛇堂』と読むのがおすすめです。私は三部作をすべて読みましたが、刊行順に読むと”私”の変化も楽しめました。
ミステリーとホラー、どちらの要素が強いですか?
私はホラー寄りだと感じました。洋館にまつわる謎や、原稿をめぐる不可解な出来事など、ミステリー的な興味で引っぱられる部分もありますが、最後は論理ですべてを解き明かすというより、ホラーとしての不気味な余韻が残る作品です。
怖さはどのくらいですか?残酷な描写はありますか?
驚かせるタイプの怖さではなく、「何かがおかしい」という感覚がじわじわ積み重なっていくタイプの怖さです。洋館の過去の事件をめぐって凄惨な内容に触れる場面はありますが、描写がずっと続くわけではないので、グロテスクな表現が苦手な方でも読めると思います。
おわりに
初めて読んだときと今とで、ここまで印象が変わる本はなかなかありません。三津田作品を読み重ねてきたからこそ、デビュー作の中にその後の作品につながる”三津田信三らしさ”がたくさん見つかって、まるで答え合わせをしているような楽しい再読になりました。
三部作の2作目『作者不詳 ミステリ作家の読む本』も再読して、感想レビューを書きました。『迷宮草子』という奇妙な同人誌をめぐる物語で、本作で”私”が連載していた同人誌ともつながっています。完結編の『蛇棺葬』『百蛇堂』も、前後編まとめて感想レビューにしました。三部作でいちばん怖い作品です。
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