読み終えたあと、もう一度最初から読みたくなる。梨『かわいそ笑』感想レビュー【ネタバレなし】

かわいそ レビュー

※本記事はAIを活用して作成し、管理人が内容を確認・編集しています。

本棚の住人、Konohaです。

『るるぶ■■版 蓋ヶ瀬』や背筋さんの『口に関するアンケート』と、モキュメンタリーホラーを続けて読んできた流れで、今回はネット怪談の書き手として名前をよく見かける梨さんの『かわいそ笑』を手に取りました。梨さんの作品を読むのはこれが初めてです。

読み終えた直後の正直な感想は「難しい……」でした。ところが、ほかの読者の考察を読んでから振り返ると、この本の見え方がまるで変わってしまったんです。そんな「読んだあと」まで含めた読書体験を、ネタバレなしでまとめてみます。

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『かわいそ笑』の評価

Konoha

Konohaの評価

  • おすすめ度 ★★★☆☆
  • 怖さ ★★★☆☆
  • 独創性 ★★★★★
  • 読みやすさ ★★☆☆☆

ばらばらの怪談の断片から、少しずつ「あの子」の輪郭が浮かび上がってくる構成はとても不気味。1回読んだだけではつかみきれませんでしたが、考察を読んでこの本の仕掛けに気づいたときの、背筋が冷えるような感覚は忘れられません。


『かわいそ笑』とは

「死んだ人のことはちゃんと可哀想にしてあげなきゃ駄目でしょう。」 一度読んだら引き返せない、怪異が侵食する恐怖のネット怪談。 雨穴氏(『変な家』著) 推薦!! インターネット上に伝わる多くの怪談。 その中に何故か特定の「あの子」が被害にあう奇妙な怪談が出回っていた。 とある掲示板のQRコード、インタビューの書き起こし、出典不明な心霊写真、匿名のメールデータ。……

2022年にイースト・プレスから刊行された、梨さんの単行本デビュー作です。筆者が集めたという体験談のファイル、SNSやブログからの抜粋、音声の文字起こし、迷惑メール、ネット小説などが「第一話」から「第五話」までまとめられていて、読者はその資料を一つずつ読み進めていく形になっています。


『かわいそ笑』の見どころ

体験談、掲示板、メール……形式の違う「資料」を読み進める構成

この本には、ふつうの小説のような地の文がほとんどありません。並んでいるのは、ある女性から聞き取った体験談、古いSNSのトピック、個人ブログの記事、怪談本からの引用、音声データの文字起こし、毎日届く不気味な迷惑メールの記録……といった「資料」です。ファイル名やブログのタイトルまで本物らしく作り込まれていて、まるで誰かのパソコンの中をのぞき見しているような感覚になります。

別々の怪談に、なぜか同じ「あの子」が現れる

資料の書き手も、時代も、場所もばらばら。それなのに、どの話にも同じ名前の女の子や、同じような奇妙な特徴が繰り返し現れます。「この写真は、前の話に出てきたあの写真なのでは?」「この要望を出したのは、もしかして……」と、点と点がつながりそうでつながらない。読みながら自分でメモを取って考察したくなる、謎解きのような面白さがあります。

怪異よりも怖い、人間の悪意

読み進めるうちに見えてくるのは、得体の知れない怪異そのものよりも、ネットの向こう側にいる誰かの悪意や、ゆがんだ欲望です。誰が、何のためにこんなことをしているのか。目的の分からない行動の数々に、幽霊とは違う種類の気味の悪さを感じました。


『かわいそ笑』の感想

第一話は、学生時代にネットで知り合った友人の家に遊びに行ったら、一人暮らしのはずの部屋で謎の物音がしたり、お札だという奇妙な紙が置いてあったり……という体験談から始まります。最初は「人怖系の話かな」と思いながら読んでいたのですが、その体験談を語っている女性の様子が、だんだんおかしくなっていくんです。自分の意思で話していないような違和感。目的の分からない、正体の見えない怖さに、序盤から引き込まれました。

いちばんぞっとしたのは、第二話の音声データの文字起こしです。ある画像を見てしまった語り手が、虫の幻覚を見始める場面があるのですが、その描写が生々しくて、読んでいるこちらまで肌がざわざわしました。話が進むにつれて、別々の資料に同じ名前や同じモチーフが出てくるようになり、「少しずつつながってきたかも」とわくわくしながらページをめくりました。

ただ、正直に言うと、最後まで読んでも私には全体像がつかみきれませんでした。第四話あたりから資料の関係がさらに入り組んでいき、「この話をしているのは誰?」「この子は実在するの?」と疑問が増えるばかり。最後に置かれた文章を読んで、「これは理解するにはもう一度読まないといけないかも」と感じ、いったん★3をつけました。

そこで、ほかの読者の考察を少し読んでみました。そして、この本が読者に何を仕掛けていたのかに気づいた瞬間、一気に腑に落ちると同時に、ぞっとしました。怖いのは「読んだら呪われる」ことではなく、読み終えた読者自身の立ち位置そのものだったんです。これ以上はネタバレになるので書けませんが、考察を読んだあとにページをめくり直すと、何気なく読み流していた部分がまったく違って見えてきます。

考察の中には、紙の本ではページの見え方そのものにも仕掛けがあるのでは、という話もありました。私はKindleで読んだのですが、この本は紙で手に取って、ページをめくりながら読むほうが体感できる怖さがあるのかもしれません。1回で分かりやすい本ではありませんが、読んだあとに考える時間まで含めて楽しむ、そんなネット怪談でした。


『かわいそ笑』がおすすめな人

断片的な資料から真相を推理するモキュメンタリーホラーが好きな方に。 読み終えたあとに考察を読んだり、もう一度読み返したりする時間まで楽しめる方には、ぴったりの1冊です。

一方で、次のような方には少し合わないかもしれません。

  • すべての謎がはっきり説明される結末を求める方(真相の多くは読者の解釈に委ねられています)
  • ネット用語やインターネット文化になじみがない方(掲示板・SNS・ダークウェブなど、ネットならではの舞台が次々に出てきます)

それでも、読み終えたあとに自分の立ち位置がひっくり返るような体験は、この本ならではのものでした。モキュメンタリーホラーの「その先」を味わってみたい方は、ぜひ挑戦してみてください。


よくある質問

質問

『かわいそ笑』は怖いですか?

回答

いきなり驚かせるタイプではなく、正体や目的が分からないものがじわじわ迫ってくるタイプの怖さです。死体の写真や薬物に関する話題など不穏なモチーフは出てきますが、描写は資料の中で語られる形なので、グロテスクな表現が続くわけではありません。私がいちばん怖かったのは、読み終えて仕掛けに気づいたあとでした。

質問

1回読んだだけで理解できますか?

回答

私は1回では全体像をつかめませんでした。資料同士のつながりを整理しながら読むか、読み終えてから考察を読むのがおすすめです。分からない部分が残るのも含めて、この本の楽しみ方だと感じています。

質問

紙の本と電子書籍、どちらで読むのがいいですか?

回答

私はKindleで読み、内容は問題なく楽しめました。ただ、考察を読んでいると、紙の本ではページの見え方にも意味があるのでは、と感じる部分がありました。これから読む方で迷っているなら、紙の本で手に取ってみるのも良さそうです。

質問

ネタバレを読んでから読んでも楽しめますか?

回答

考察やネタバレは、ぜひ読み終えてからにしてください。この本の仕掛けは、自分で最後まで読んでから気づくことで本当の怖さが伝わるものだと思います。この記事でも、仕掛けの中身には触れていません。


おわりに

初めての梨さんの作品は、読み終えたあとまでずっと考えさせられる、不思議な読書体験になりました。1回目は★3をつけましたが、考察を踏まえてもう一度読んだら、きっと評価が変わる気がしています。再読したときには、またこのブログで感想をお伝えできればと思います。

ほかのモキュメンタリーホラーが気になる方は、柿『るるぶ■■版 蓋ヶ瀬』の感想レビューや、背筋さんの全作品まとめもあわせてどうぞ。

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