※本記事はAIを活用して作成し、管理人が内容を確認・編集しています。
本棚の住人、Konohaです。
『お孵り』、『おどろしの森』に続いて、滝川さりさんの作品を1冊ずつ振り返るレビューの3本目です。今回は『ゆうずどの結末』。『あかずめの匣』を読んで滝川さりさんにはまり、次に手に取ったのがこの作品でした。
読むと死ぬ本。捨てても戻ってくる本。そして、勝手に進んでいく栞。「本」という物そのものを恐怖の仕掛けに使ったホラーで、ページをめくる自分の手まで物語に組み込まれていくような感覚が味わえる1冊です。
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『ゆうずどの結末』の評価
『ゆうずどの結末』とは
こんな結末は耐えられないーー。大学に入学して3か月、菊池斗真はサークルの同級生・宮原の投身自殺を目撃してしまう。死因に不審な点もなく遺書もあったことから、彼女の死は自殺と断定された。宮原の死から数日後、菊池は同じサークルに所属する先輩の日下部から、表紙にいくつかの赤黒い染みがある本を手渡される。それは、宮原が死の瞬間に持っていた小説らしい。「ゆうずど」というタイトルの小説は角川ホラー文庫から刊行されている普通のホラー小説で、特に宮原の死と結びつけるような内容は描かれていなかった。しかし、本を読んだ日下部はその翌週に自殺をしてしまう。そして日下部の死後、なぜか菊池の手元には「ゆうずど」の本が現れていた。何度捨てても戻ってくる本。そして勝手に進んでいく本に挟まれた黒い栞。自分にしか見えない紙の化け物。菊池は何とか自らに迫る死の呪いを回避するために、ある手段を講じるがーー。その■■を、絶対に読んではいけない。あなたの身に恐怖が迫る、新感覚ホラー誕生!
2024年に角川ホラー文庫から刊行された、滝川さりさんの4作目の長編です。作中に登場する呪いの本「ゆうずど」も「角川ホラー文庫から刊行されている普通のホラー小説」という設定で、いま手に持っているこの本と作中の本が重なって見えてくるのが、この作品ならではの怖さです。シリーズものではないので、この1冊から読み始めても問題ありません。
『ゆうずどの結末』の見どころ
勝手に進む「黒い栞」という呪いのタイムリミット
この作品でいちばん面白かったのが、呪いの残り時間が、本に挟まれた栞の位置で示されるという仕掛けです。読んでいないのに栞が少しずつ進んでいき、最後のページにたどり着いたとき、何かが起こる。カウントダウンの数字でも日付でもなく、「栞の位置」という本ならではの形で迫ってくるのが新鮮で、本の呪いらしいアイデアだと感心しました。読者の側も、自分の手元の残りページを意識しながら読み進めることになり、物語の中の焦りがこちらにまで伝わってきます。
章ごとに入れ替わる主人公と、仕掛けられた思い込み
物語は、呪いの本が持ち主から持ち主へと渡っていくのに合わせて、章ごとに主人公が入れ替わっていきます。大学のサークル、小学校……と、章ごとに舞台も雰囲気もがらりと変わるので、短編を続けて読んでいるような感覚で楽しめました。ただ、油断して読んでいると、ある章ではまんまと思い込みを利用されて「騙された……」と声が出ます。ホラーでありながら、ミステリーのような仕掛けもしっかり効いているのが嬉しいところです。
「滝川さり」名義の最終章
最終章は、作者である滝川さりさん本人の名前で語られます。そこで描かれるのは、この本そのものが作られていく過程。読み進めるうちに、自分がいま読んでいる本と作中の「ゆうずど」との境目があいまいになっていき、まるで本当に呪いの本を読まされていたかのような気分になりました。本を閉じたあとも、手元の一冊が少しだけ気味悪く見えてくる、そんな余韻の残る締めくくりです。
『ゆうずどの結末』の感想
一章は、同級生の自殺を目撃した大学生・菊池の物語です。冒頭の「こんな結末は耐えられない」という一文の意味が分かったときには、その辛さに胸が詰まりました。そして何より、栞の位置で呪いのリミットを示すアイデアに一気に心をつかまれて、「この本、面白いぞ」と前のめりになっていました。
二章では主人公が変わり、物語の見え方も変わります。ここで私はまんまと作者の仕掛けにはまってしまい、思わず「騙された」とつぶやいてしまいました。「結末」とはいったい何を意味するのか、単純に死ぬことではないのかもしれない……と、タイトルの意味を考えながら読むのも楽しかったです。
三章は小学校が舞台のストレートな怖さの章で、いじめの描写には読んでいてむかむかしてしまいました。続く四章では、呪いから逃れるための手がかりのようなものが示され、物語がぐっと面白くなっていきます。それまでの章で積み上がってきた「ゆうずど」の謎が、少しずつ形になっていくのが心地よかったです。
そして最終章。作者の名前で、この本の制作過程が語られていく構成には、本当に呪いの本を読んでいたかのような不思議な感覚を味わいました。ひとつ心残りなのは、私がKindleで読んだことです。栞の位置という仕掛けは、紙の本でページの厚みを感じながら読んだほうが、きっともっと怖くて面白いはずです。
『ゆうずどの結末』がおすすめな人
「本」という物自体を使った、仕掛けのあるホラーを読みたい方に。 章ごとに語り手が入れ替わる連作のような構成や、作者自身が登場するメタ的な演出が好きな方にも、自信を持っておすすめできます。
一方で、次のような方には少し合わないかもしれません。
- 1人の主人公の物語をじっくり追いかけたい方(章ごとに主人公が入れ替わります)
- 自殺やいじめの描写が苦手な方(物語の発端から、辛い場面がたびたび出てきます)
読むなら、ぜひ紙の本で。栞が進んでいく怖さを自分の手で確かめながら読める読書体験は、この本でしか味わえないものだと思います。
よくある質問
紙の本と電子書籍、どちらで読むのがおすすめですか?
私はKindleで読みましたが、読み終えてみると紙の本のほうがおすすめだと感じました。呪いのタイムリミットが「栞の位置」で示される作品なので、手元に残ったページの厚みを感じながら読むほうが、焦りや怖さをより体感できると思います。もちろん電子書籍でも物語は十分に楽しめます。
『ゆうずどの結末』はどのくらい怖いですか?
紙の化け物などの怪異も出てきますが、いちばん怖いのは、逃れられない呪いがじわじわ迫ってくる感覚です。グロテスクな描写はそれほど多くありません。どちらかといえば、仕掛けや構成の面白さを楽しむタイプのホラーなので、ホラーに慣れていない方でも読みやすいと思います。
ミステリー要素はありますか?
あります。章によっては読者の思い込みを利用した仕掛けがあり、私はまんまと騙されました。また、「ゆうずど」の呪いがどんなルールで働いているのかを、章を追うごとに少しずつ読み解いていく楽しさもあります。とはいえ謎解きがメインではなく、あくまでホラーが主役の作品です。
『あかずめの匣』とどちらから読むのがおすすめですか?
どちらも「本」を使った仕掛けと呪いのルールが魅力の作品で、つながりはないのでどちらから読んでも大丈夫です。伏線の緻密さでは『あかずめの匣』が一枚上ですが、本という物自体を使った仕掛けの面白さでは『ゆうずどの結末』に軍配が上がると私は感じました。迷ったら、私のいちばんのお気に入りである『あかずめの匣』から読んでみてください。
おわりに
『お孵り』『おどろしの森』『ゆうずどの結末』と続けて振り返ってきて、滝川さりさんは本当に1冊ごとに違う怖さを見せてくれる作家さんだと改めて感じました。なかでも本作は、「本を読む」という行為そのものを恐怖に変えてしまう発想がいちばん印象に残っている作品です。この作品で試された「本」の仕掛けが、次の『あかずめの匣』でさらに磨かれていったのだと思うと、刊行順に読み比べるのも楽しいはずです。
滝川さりさんのほかの作品が気になった方は、滝川さりの全作品まとめもあわせてどうぞ。同じく「本」を使った仕掛けが光る『あかずめの匣』の感想レビューもおすすめです。
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