死者に会える神社に現れる”黒衣の女”の正体は?阿泉来堂『ぬばたまの黒女』感想レビュー【ネタバレなし】

ぬばたまの黒女 レビュー

※本記事はAIを活用して作成し、管理人が内容を確認・編集しています。

本棚の住人、Konohaです。

阿泉来堂さんの『ナキメサマ』を読んで、二転三転するどんでん返しにすっかり振り回されたのが8月のこと。『ナキメサマ』の感想レビューの最後で「積読にしている2巻目・3巻目も近いうちに」と書いていたのですが、ようやくその2巻目『ぬばたまの黒女』を読み終えました。

帰郷、同窓生との再会、焼け落ちた神社、そして黒い装束の女。前作と同じく北海道の寒村が舞台ですが、今回は主人公自身の”家族”の問題が物語の真ん中に据えられていて、ホラーでありながら思わず主人公を応援したくなる1冊でした。

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『ぬばたまの黒女』の評価

Konoha

Konohaの評価

  • おすすめ度 ★★★★☆
  • 怖さ ★★★☆☆
  • どんでん返し度 ★★★★☆
  • 読みやすさ ★★★★☆

猟奇的な殺人と”本物”の気配をまとった黒衣の女、そして村に隠された神社の秘密。ホラーとしての不穏さはしっかりありつつ、読み終えていちばん心に残ったのは、父親になることから逃げていた主人公の決意でした。驚きは前作ほどではなかったものの、エピローグにはまたしてもやられました。


『ぬばたまの黒女』とは

神出鬼没のホラー作家にして怪異譚蒐集家・那々木悠志郎再び登場! 生まれ故郷の村が近隣の町に吸収合併されると知り、十二年ぶりに道東地方の寒村、皆方村を訪れた井邑陽介。 妊娠中で情緒不安定の妻から逃げるように里帰りした陽介は、かつての同窓生から、村の精神的シンボルだった神社一族が火事で焼失し、憧れだった少女が亡くなっていたことを告げられる。 さらに焼け跡のそばに建立された新たな神社では全身の骨が折られ……

2021年に角川ホラー文庫から刊行された、「作家・那々木悠志郎シリーズ」の2作目です。デビュー作『ナキメサマ』に続いて、ホラー作家の那々木悠志郎が怪異の謎に迫ります。舞台は前作と同じく北海道ですが、今回は道東地方の寒村。物語は那々木ではなく、帰郷した青年・陽介の視点で進んでいきます。


『ぬばたまの黒女』の見どころ

「死者に会える神社」という異様な信仰

物語の鍵を握るのが、かつて村の精神的なシンボルだった神社の一族です。この神社では、あの世とこの世をつなぐ扉から死者の魂を呼び、残された人に言葉を届けていたといいます。那々木いわく、神社にとって死は本来「穢れ」として遠ざけるもの。それなのに、あえて死者に触れようとするこの神社は異様なのだ、と。言われてみると確かにそうで、この一言で村に漂う不穏さの輪郭が一気にくっきりしました。プロローグで描かれる”死者の魂を呼ぶ”場面が、トリックなのか本物の怪異なのかを考えながら読むのも楽しいポイントです。

猟奇殺人と黒衣の女、ホラーとミステリーの二重奏

全身の骨が砕かれた神主の遺体、停電の夜に響く悲鳴、そして暗闇の中にたたずむ黒い装束の女。表紙にも描かれているこの黒衣の女が現れるたびに、人の手による事件なのか、それとも怪異の仕業なのかという問いが揺さぶられます。事件の手がかりを追うミステリーとしての面白さと、理屈の通じない存在が迫ってくるホラーとしての怖さが、交互に押し寄せてくる構成でした。

父親になることから逃げた主人公の物語

主人公の陽介は、妻の妊娠を素直に喜べず、半ば逃げるように故郷へ帰ってきた人物です。さらに、再会した同窓生たちも、陽介自身も、それぞれ口にできない何かを抱えている様子。村で起きる惨劇と並行して、陽介が自分の弱さや家族とどう向き合っていくのかが描かれていくので、怪異の謎とは別の軸でも物語に引き込まれました。


『ぬばたまの黒女』の感想

読み始めてすぐ、「猟奇殺人だ……」と身構えました。全身の骨が砕かれた遺体という導入からして容赦がなく、閉ざされた村の空気と相まって、序盤から不穏さ全開です。

前作から続けて読んでいる身としてうれしかったのが、那々木悠志郎の登場シーンです。自分の作品を知らない相手にショックを受けるという、前作にもあったお決まりのくだりがあるのですが、『ナキメサマ』のときは「何だこの人」と思っていたのに、今回は思わず微笑ましい気持ちになっていました。2作目にして、すっかりこの変わり者の作家に愛着が湧いていたようです。

中盤は、黒衣の女の正体と、村と神社に隠された過去をめぐって、考察しながら読み進めました。同窓生たちの様子がどこかおかしいことにも気づき、「陽介はまだ何か隠しているよね」「この人はなぜ急に怒り出したんだろう」と、ページをめくるたびに疑いの目が増えていきます。真相が明かされたときは、驚きよりも「なるほど、それなら納得」という気持ちのほうが強かったのですが、登場人物たちの動機にはしっかり筋が通っていて、物語としての満足感は十分でした。

そして、油断していたところに来るのがエピローグです。事件が片づいてほっとしたのも束の間、最後の数ページで思わず「そう来たか……」とつぶやいてしまいました。前作の二転三転ほどの衝撃ではなかったものの、最後にもうひと捻り用意してくれるのは、さすが阿泉来堂さんだと思いました。

何より心に残ったのは、父親になる覚悟を持てずにいた陽介が、この村での出来事を経て決意を固める場面です。ホラー小説を読んでいて、主人公を思わず応援してしまったのは久しぶりでした。


『ぬばたまの黒女』がおすすめな人

閉ざされた村の因習と、猟奇的な事件の謎を同時に味わいたい方に。 『ナキメサマ』を読んで那々木悠志郎というキャラクターが気になった方にも、ぜひ続けて読んでほしい1冊です。

一方で、次のような方には少し合わないかもしれません。

  • 前作を超える大どんでん返しを期待している方(今回は謎解きの驚きより、物語としての納得感が強めです)
  • 遺体の描写が苦手な方(骨を砕かれた遺体など、猟奇的な描写がたびたび出てきます)

それでも、怪異の謎と、ひとりの青年が父親になる覚悟を決めるまでの物語がひとつに重なる読書体験は、シリーズを追いかける楽しさを十分に感じさせてくれました。那々木悠志郎の2つ目の事件、ぜひ手に取ってみてください。


よくある質問

質問

前作『ナキメサマ』を読んでいなくても楽しめますか?

回答

事件も舞台も登場人物も一新されているので、本作から読んでも物語は問題なく楽しめます。ただ、那々木悠志郎のお決まりのやりとりなど、前作を読んでいるとくすっとできる場面もあるので、せっかくなら『ナキメサマ』から順番に読むのがおすすめです。

質問

グロテスクな描写はありますか?

回答

あります。紹介文にもある「全身の骨が折られた」遺体をはじめ、猟奇的な殺人の描写がたびたび出てきます。ただ、生理的な嫌悪感で押してくるタイプではなく、あくまで事件の異様さを伝えるための描写という印象でした。

質問

ホラーとミステリー、どちらの要素が強いですか?

回答

ちょうど半々くらいだと感じました。事件の真相を追っていくミステリーの面白さと、人の理屈では片づけられない怪異の怖さが、交互に押し寄せてくる構成です。どちらか一方だけが好きな方でも楽しめると思います。

質問

「作家・那々木悠志郎シリーズ」はどの順番で読めばいいですか?

回答

刊行順に『ナキメサマ』→『ぬばたまの黒女』→『忌木のマジナイ』→『邪宗館の惨劇』→『化身の残夢』の全5作です。『忌木のマジナイ』は那々木の「最初の事件」を描いた作品ですが、過去作とつながる要素もあるので、刊行順に読むのがおすすめです。


おわりに

那々木悠志郎の2つ目の事件は、怪異の謎に加えて、ひとりの青年が家族と向き合う物語でもありました。前作とは違う方向から心を動かされて、このシリーズの懐の深さを感じています。

実は、読み終えた勢いのまま3作目の『忌木のマジナイ』まで一気に読んでしまいました。こちらはシリーズでいちばん夢中になった1冊だったので、ぜひ『忌木のマジナイ』の感想レビューもあわせてどうぞ。まだシリーズを読んだことがない方は、まず『ナキメサマ』の感想レビューからどうぞ。

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さらに4作目の『邪宗館の惨劇』では、本作に登場した要素とつながる場面も出てきます。本作を読み終えた方は、こちらもあわせてどうぞ。

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