※本記事はAIを活用して作成し、管理人が内容を確認・編集しています。
本棚の住人、Konohaです。
『ぬばたまの黒女』の感想レビューの最後で、「読み終えた勢いのまま3作目まで一気に読んでしまいました」と書いていた1冊が、今回の『忌木のマジナイ』です。『ぬばたまの黒女』を読み終えた翌日には、もう最後のページまでたどり着いていました。
副題は「作家・那々木悠志郎、最初の事件」。これまで神出鬼没の怪異譚蒐集家として登場してきた那々木が、初めて怪異に出会った物語です。しかも、那々木自身が書いた未発表原稿を担当編集者が読み進めるという、これまでとはまったく違う始まり方。1ページ目からわくわくが止まらず、シリーズでいちばん夢中になって読んだ1冊になりました。
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『忌木のマジナイ』の評価
『忌木のマジナイ』とは
ホラー作家、那々木悠志郎の担当編集となった久瀬古都美は、彼が初めて体験したという怪異譚を題材にした未発表原稿を読むことに。 そこに書かれていたのは、心霊現象に懐疑的な小学6年生、篠宮悟が、流行りの噂話で語られる『崩れ顔の女』を呼び出してしまうという物語だった。 その顔を見てしまった者は視力を奪われ、精神的に追い詰められた末に自殺してしまうという怪異。……
2021年に角川ホラー文庫から刊行された、「作家・那々木悠志郎シリーズ」の3作目です。副題のとおり、那々木悠志郎が作家としてデビューする前に初めて体験した怪異を描いた物語で、シリーズの前日譚にあたります。那々木が書いた原稿という「作中作」と、それを読む編集者・久瀬古都美の数日間が交互に進んでいく構成になっています。
『忌木のマジナイ』の見どころ
原稿を読む編集者と、原稿の中の物語
物語は、那々木の担当編集者・久瀬古都美の視点から始まります。那々木から届いた原稿には、「原稿を読んで何か不可解なことが起きた場合は、速やかに報告すること」という不穏な追伸が添えられていました。そこから、原稿の中の小学生・悟の物語と、原稿を読み進める古都美の日常が「一日目」「二日目」……と交互に描かれていきます。読者は古都美と一緒に原稿を読んでいる感覚になるので、原稿の中の出来事が、少しずつ古都美の現実に染み出してくる感覚がとても不気味でした。
自分も呪われる「呪いの木」と、崩れ顔の女
悟の町に伝わる七不思議のひとつが、公園にある呪いの木。自分と呪いたい相手の写真を木の根元に埋めて呪文を唱えると、相手だけでなく自分も一緒に呪われる、というものです。呪った本人まで巻き込まれるという条件が珍しく、なぜそんな仕組みなのかが気になって仕方ありませんでした。そして呪いの先に現れるのが「崩れ顔の女」。顔を見てしまえば終わりという怪異が、じわじわと距離を詰めてくる場面は、シリーズの中でもいちばん怖かったです。
報われてほしいと願わずにいられない少年・悟
原稿の主人公・悟の境遇は、読んでいて本当に辛いものがあります。学校にはなじめず、家庭にも居場所がなく、頼れるはずの大人も味方になってくれない。そんな悟の前に現れるのが、怪異の真相を調べに来た那々木悠志郎です。孤独な少年と変わり者の作家、そして悟を気にかける同級生の女の子。怪異と向き合う中で少しずつ変わっていく悟の姿に、「最後には報われてほしい」と祈るような気持ちでページをめくっていました。
『忌木のマジナイ』の感想
序盤は、悟の置かれた状況があまりに辛くて、胸がぎゅっと苦しくなりました。しかも悟が呪いに手を出したのは、呪いを信じていないならやってみろとクラスメイトに煽られたから。本気で誰かを呪うつもりではなかったのに、という軽いきっかけだからこそ、その先に待つものが怖くてたまりませんでした。一方で、原稿を読む古都美の側にも少しずつ異変が起こり始め、「この編集者パートは物語にどう関わってくるんだろう」と考えながら読み進めました。
中盤からは、原稿と現実の両方で謎が積み重なっていきます。古都美自身が抱えている家族の過去、原稿の登場人物たちのつながり、そして呪いが本当に意味するもの。いちばん気になるところで那々木からの電話が途切れてしまう場面では、思わず「那々木、教えて!」と叫びたくなりました。顔を見なければ大丈夫、と思わせておいて容赦なく迫ってくる怪異の描写は、本当に怖かったです。
実は私は、読んでいる途中である仕掛けに気づいてしまい、「これは自信あり」と思いながら答え合わせをするように終盤を読みました。そのぶん最後の驚きは少し小さくなってしまったのですが、自分の推理が当たっていたと分かった瞬間はうれしかったですし、気づいていなかった部分の真相には素直に驚かされました。原稿の中と外、ふたつの物語のピースがひとつにはまっていく終盤は、まさに作中作ならではの気持ちよさです。
ひとつだけ、那々木がなぜこの原稿を編集者に読ませたのか、その理由には少しもやっとしたものが残りました。それでも、読み終えたときの満足感はシリーズの中でいちばんです。副題どおり「最初の事件」にふさわしい、那々木悠志郎というキャラクターの原点がしっかり描かれていて、これまでの2作で見てきた那々木の姿が少し違って見えるようになりました。続編への伏線らしきものも感じられて、次の作品を読むのが今から楽しみです。
『忌木のマジナイ』がおすすめな人
作中作や、物語と現実がリンクしていく仕掛けが好きな方に。 『ナキメサマ』『ぬばたまの黒女』を読んで那々木悠志郎が気になっている方には、ぜひ読んでほしい1冊です。
一方で、次のような方には少し合わないかもしれません。
- 子どもが辛い目に遭う描写が苦手な方(悟の家庭環境や学校での扱いはかなり胸が痛みます)
- シリーズを1冊も読んでいない方(単体でも読めますが、前の2作を読んでからのほうが何倍も楽しめます)
それでも、ふたつの物語がひとつに重なる瞬間の気持ちよさと、那々木悠志郎の原点に触れられる感動は、シリーズを追いかけてきた読者へのごほうびのような読書体験でした。シリーズの中でも、いちばんのおすすめです。
よくある質問
「最初の事件」なら、シリーズの最初に読んでもいいですか?
物語としては単体でも読めますが、私は刊行順どおり『ナキメサマ』『ぬばたまの黒女』のあとに読むのをおすすめします。前の2作で那々木悠志郎というキャラクターを知っているほど、「最初の事件」で描かれる彼の原点が心に響く作りになっていると感じました。
怖さはどのくらいですか?
私が読んだシリーズ3作の中では、いちばん怖かったです。「崩れ顔の女」が少しずつ迫ってくる場面は、じわじわ来るタイプの怖さと、思わず目を背けたくなる怖さの両方があります。遺体の描写もありますが、グロテスクさよりも怪異そのものの恐ろしさが印象に残る作品です。
作中作の構成は読みにくくないですか?
原稿のパートと編集者のパートは「一日目」「二日目」のようにはっきり区切られているので、迷うことはありませんでした。むしろ、ちょうどいいところで場面が切り替わるので、続きが気になってどんどん読み進めてしまう構成です。
ネタバレなしで読んだほうがいいですか?
ぜひ、何も知らない状態で読んでください。原稿と現実がどうつながっていくのかが最大の楽しみなので、事前に情報を入れないほうが驚きは大きくなります。この記事でも、仕掛けや真相には一切触れていません。
おわりに
『ナキメサマ』から始まった那々木悠志郎シリーズも、これで3作を読み終えました。どんでん返しの『ナキメサマ』、家族の物語でもあった『ぬばたまの黒女』、そして作中作で那々木の原点を描いた『忌木のマジナイ』と、1作ごとにまったく違う角度から楽しませてくれるシリーズだと改めて感じています。残るは『邪宗館の惨劇』と、完結編の『化身の残夢』。最初の事件を読んだあとで「最後の事件」を読むのが、今から楽しみです。
その4作目『邪宗館の惨劇』も読み終えました。何度逃げても惨劇の夜に引き戻される怖さと、ラストシーンに残る温かい余韻が忘れられない1冊です。
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シリーズをこれから読む方は、まず『ナキメサマ』の感想レビューからどうぞ。
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