※本記事はAIを活用して作成し、管理人が内容を確認・編集しています。
本棚の住人、Konohaです。
先日『あかずめの匣』のレビュー記事を書いた際、「滝川さりさんのほかの作品も、これから追いかけていきたい」と書きました。ちょうど気になっていたところに、積読していた『ゆうずどの結末』も読み終えることができたので、今回は滝川さりさんの全作品を整理してみることにしました。2026年9月時点で刊行されている6作品が対象です。初版公開のあとに『お孵り』『おどろしの森』、そして最後まで積読に残っていた『くたばるの小人』も読み終え、これで既刊はすべて読了しました。全作品に感想と評価を加えています。
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滝川さり キャリア年表
※「評価」はKonohaが読了した時点での個人的な評価です。
まずはこの1冊から
迷ったら、まずは『あかずめの匣』から読んでみてください。冠村に伝わる怪異「あかずめ」をめぐる4人の物語がバラバラに進み、最後に一本の線としてつながっていく構成で、初めて読む作家さんでしたがいきなり★5をつけたくなる読書体験でした。滝川さりさんの持ち味が一番わかりやすく味わえる入り口だと思います。
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滝川さりという作家
滝川さりさんは1992年生まれ、兵庫県神戸市出身の作家です。大学職員として働きながら執筆を続けています(出典:[booklog 著者ページ])。
2019年、「卵から孵る老人」というアイデアと、生まれ変わりにまつわる都市伝説を掛け合わせた『お孵り』で第39回横溝正史ミステリ&ホラー大賞〈読者賞〉を受賞しデビューしました。同じ賞の〈読者賞〉出身の作家としては、以前ご紹介した[織部泰助さん](第44回受賞)もいて、この賞から出てくる作家さんには毎回注目しています。
応募のきっかけは配偶者の勧めだったそうで、当時新婚で配偶者の実家が山深い村だったことが、作品の舞台設定にも影響を与えたのだとか。影響を受けた作品として筒井康隆さんの『時をかける少女』『走る取的』、そして岩井志麻子さんの『ぼっけえ、きょうてえ』を挙げていて、特に後者は繰り返し読むほどの愛読書で、方言の使い方にも影響を受けているそうです(出典:[カドブン「【キャラホラ通信10月号】『お孵り』刊行記念 滝川さりインタビュー」])。
作品を読んでいて感じるのは、村や旧家に伝わる因習・伝承をモチーフにしながら、「呪いの条件」を読者自身に推理させる仕掛けや、本という物自体を使ったメタ的な恐怖演出が得意な作家さんだということです。『あかずめの匣』も『ゆうずどの結末』も、そうした持ち味がよく表れた作品でした。デビュー作の『お孵り』と2作目の『おどろしの森』も読んでみて、こちらは仕掛けよりも読みやすさとテンポのよさが光る、エンタメ寄りのホラーだと感じました。さらに『くたばるの小人』は、学校のいじめと異形の”小人”を重ねたパニックホラーで、1冊ごとにまったく違う恐怖を見せてくれる幅の広さに驚かされています。
滝川さりの全作品を紹介(刊行順)
滝川さりさんはシリーズものを持たず、1冊ごとに舞台も設定も異なるホラー小説を発表しているのが特徴です。刊行順に紹介します。
デビュー作:お孵り(2019年)★★★★
結婚の挨拶のため、婚約者・乙瑠の故郷を訪れた佑二。そこは生まれ変わりの伝説がある村だった。やがて乙瑠は村で里帰り出産をすることになったが、子供は生まれ変わりを司る神として村に囚われてしまい!?
第39回横溝正史ミステリ&ホラー大賞〈読者賞〉を受賞したデビュー作です。生まれ変わりの伝説が残る村を舞台にした因習ホラーで、津山事件を思わせる事件をモチーフにした作品は数多くありますが、そこに「生まれ変わり」という設定を掛け合わせた恐怖の演出には感心しました。展開はある程度読めてしまう部分もあるものの、文章が読みやすく物語もテンポよく進むので、サクサク読み進められます。あと少し捻りがあれば★5だったかな、というのが正直な感想です。詳しい感想は別記事にまとめています。
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こんな方に: 村社会の因習・伝承ホラーが好きな方に。滝川さりさんの原点を知りたい方にもおすすめです。
生まれ変わりの設定を恐怖に変える発想は、デビュー作ながら一読の価値があります。
おどろしの森(2020年)★★★★
尼子拓真は新築一軒家を購入し幸せの絶頂だった。だが家の中でお香の匂いや女の笑い声がし出すように。なぜかそれは拓真にしか感じられず、霊能者にも異常ないと言われてしまう。この家に隠された秘密とは。
新築の一軒家に起きる怪異を、家族の中でも「見える人」と「見えない人」がいるという構図で描いた作品です。妻や娘には信じてもらえず、恐怖の中で孤立していく怖さに加えて、霊能者が登場してからは怪異と正面からぶつかるホラーバトルのような面白さもあり、澤村伊智さんの『ぼぎわんが来る』(比嘉姉妹シリーズ)を思わせるような緊迫感のあるシーンもありました。途中はどんよりと辛い場面も続きますが、読み終えて「面白かった」と思える1冊でした。詳しい感想は別記事にまとめています。
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こんな方に: 新築・一軒家を舞台にした家族ホラーが好きな方に。霊能者が怪異に立ち向かう、エンタメ寄りのホラーバトルが好きな方にもおすすめです。
怖さだけでなく、ページをめくる手が止まらない勢いも求めるなら、この1冊は期待に応えてくれるはずです。
めぐみの家には、小人がいる。(2022年/文庫版『くたばるの小人』2025年)★★★★
群集恐怖症の小学校教師、美咲はクラスのいじめに手を焼いていた。ターゲットは〈悪魔の館〉に住む転校生のめぐみ。不登校のめぐみと始めた交換日記には「ひみつの友だち」だという無数の小さな目を持つグロテスクな小人が描かれていた。ある日、いじめの主犯が館で穴だらけの死体で見つかるが……。決して小人を怒らせるな! 異形蠢くパニックホラー。
2022年に幻冬舎から刊行された単行本『めぐみの家には、小人がいる。』が、2025年に『くたばるの小人』とタイトルを変えて幻冬舎文庫化された作品です(内容は同じ物語です)。書店やネットで探すときは、単行本と文庫でタイトルが違う点に注意してください。
私は文庫版の『くたばるの小人』で読みました。いじめで不登校になった転校生のために交換日記を始める先生・美咲がとにかく健気で、応援しながら読み進めていたら、日記に描かれた無数の目を持つ”小人”の気配がじわじわと濃くなっていきます。いじめの辛さに加えて、責任を押しつけ合う大人たちの怖さもあり、中盤はかなり重たい展開が続きました。描写はグロテスクで生理的な嫌悪感も強めですが、最後の最後まで容赦のない展開には唸らされました。村の因習ものが多い滝川作品のなかでは異色の、異形パニックホラーです。詳しい感想は別記事にまとめています。
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交換日記に描かれた”小人”が怖すぎる!滝川さり『くたばるの小人』感想レビュー【ネタバレなし】
群集恐怖症の小学校教師・美咲と、いじめで不登校になった転校生めぐみ。二人の交換日記に描かれた無数の目を持つ”小人”が、じわじわと日常を侵していきます。『めぐみの家には、小人がいる。』の文庫版、滝川さり『くたばるの小人』をネタバレなしでご紹介します。
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こんな方に: いじめ・学校を舞台にした、人の怖さと異形の怖さが重なるホラーが好きな方に。気味の悪いクリーチャーが迫ってくるパニックホラーが好きな方にもおすすめです。
グロさも嫌悪感も含めて味わえる方なら、先生と少女の交換日記から始まる物語が連れていってくれる場所に、きっとぞくっとするはずです。
ゆうずどの結末(2024年)★★★★
こんな結末は耐えられないーー。大学に入学して3か月、菊池斗真はサークルの同級生・宮原の投身自殺を目撃してしまう。死因に不審な点もなく遺書もあったことから、彼女の死は自殺と断定された。宮原の死から数日後、菊池は同じサークルに所属する先輩の…
菊池斗真、牧野伊織、藤野翔太、青井克生、そして滝川さり本人名義の最終章——5人の視点が入れ替わりながら進んでいく構成で、それぞれの章でじわじわと「ゆうずど」という呪いの正体が明かされていきます。章が変わるたびに主人公も雰囲気もガラッと切り替わるので、てっきりこういう人物だろうと思い込んで読んでいたら見事に裏切られる瞬間もあり、ミステリーとしての仕掛けもしっかり効いています。
何より面白かったのが、”呪いのリミット”がしおり(栞)の位置で示されるという仕掛けです。本という物自体を使ったホラー演出になっていて、ページをめくる手そのものが物語に組み込まれる感覚がありました。最終章は「滝川さり」本人名義になっていて、この本自体の成立過程が語られていくのですが、まるで本当に呪いの本を読んでいるような気分になってぞくっとしました。詳しい感想は別記事にまとめています。
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その本を、絶対に読んではいけない。滝川さり『ゆうずどの結末』感想レビュー【ネタバレなし】
自殺した同級生が持っていた、赤黒い染みのある一冊の本。捨てても戻ってくるその本には、勝手に進んでいく黒い栞が挟まっていました。持ち主から持ち主へと渡っていく呪いを描いた、滝川さり『ゆうずどの結末』をネタバレなしでご紹介します。紙の本で読みたい理由もお話しします。
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こんな方に: 本という物自体を使った仕掛け系ホラーが好きな方に。複数の視点が切り替わりながら進む構成が好きな方にもおすすめです。
読み終えての実感としては、キンドルより紙の本で読んだほうが面白いと思います。”栞の位置”の仕掛けは電子書籍だと体感しにくいので、可能なら紙の本を手に取ってみてください。
あかずめの匣(2025年)★★★★★
冠村に伝わる怪異「あかずめ」をめぐって、4人の視点の物語がバラバラに進み、エピローグで一本の線としてつながっていく一冊です。「呪いの条件を見破れるか」という挑戦状のような一文の通り、断片的な手がかりから自分なりに謎を推理していく感覚が新鮮で、初めて読む作家さんでしたがいきなり★5をつけたくなる読書体験でした。詳しい感想は別記事にまとめています。
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こんな方に: 村や旧家に伝わる因習・怪異をモチーフにしたホラーが好きな方に。複数の視点が最後につながる構成が好きな方にもおすすめです。
初めて読む作家さんでここまで満足度の高い読書体験に出会えるとは思っていませんでした。民俗学ホラーが好きな方は、ぜひ手に取ってみてください。
よくある質問
滝川さりは何冊出版していますか?
2026年9月時点で6冊刊行しています(『めぐみの家には、小人がいる。』の文庫版『くたばるの小人』を含むため、実質5タイトル)。デビューから約6年でこのペースなので、これから読み始めても十分に追いかけやすい作家さんです。
最初に読むならどれがおすすめですか?
『あかずめの匣』がおすすめです。4人の視点がバラバラに進み最後につながる構成で、滝川さりさんの持ち味が一番わかりやすく味わえる入り口だと感じています。
シリーズ作品はありますか?
いいえ、滝川さりさんはシリーズものを持たず、1冊ごとに舞台も設定も異なるホラー小説を発表しているのが特徴です。
ホラー初心者でも読めますか?
はい。特に『あかずめの匣』は「呪いの条件を見破れるか」という挑戦状のような一文の通り、謎解き要素の強いホラーミステリーです。純粋な怪談よりも物語や伏線を追う楽しさが中心なので、ミステリーが好きな方ならホラー初心者でも入りやすい作品だと思います。
まとめ:Konohaのおすすめベスト5&読者タイプ別ガイド
Konohaのおすすめベスト5
既刊5作品をすべて読み終えたので、Konoha個人の順位をつけてみました(『めぐみの家には、小人がいる。』は文庫版の『くたばるの小人』として1作に数えています)。
-
あかずめの匣
★★★★★4人の視点がバラバラに進み、エピローグで一本の線につながる構成のきれいさは、読んだ5作の中でも頭ひとつ抜けていました。初めて読む作家さんでいきなり★5をつけたくなった1冊で、最初の1冊にもおすすめです。
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ゆうずどの結末
★★★★☆栞の位置で呪いのリミットが示されるなど、本という物自体を使った仕掛けの面白さが光ります。伏線の緻密さは『あかずめの匣』に一歩譲りますが、仕掛けのアイデアでは負けていません。紙の本で読むのがおすすめです。
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くたばるの小人
★★★★☆交換日記から始まる先生と少女の物語に、無数の目を持つ”小人”の恐怖がじわじわ重なっていく異形パニックホラーです。グロさも嫌悪感も強めですが、最後の最後まで容赦のない展開には唸らされました。単行本『めぐみの家には、小人がいる。』の文庫版です。
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おどろしの森
★★★★☆霊能者と怪異が正面からぶつかるホラーバトルの勢いが魅力です。途中はどんよりと辛い場面もありますが、読み終えて素直に「面白かった」と思えました。エンタメ寄りのホラーが好きな方に。
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お孵り
★★★★☆あと少し捻りがあれば★5だったかな、という惜しさはあるものの、生まれ変わりの設定を活かした恐怖の演出と、読みやすいテンポのよさが魅力のデビュー作です。滝川さりさんの原点を知りたい方に。
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読者タイプ別おすすめ
迷ったときのおすすめルートをまとめます。
| こんな方に | おすすめの1冊 |
|---|---|
| 滝川さりさんが初めての方 | あかずめの匣 |
| 本という物自体を使った仕掛け系ホラーが好きな方 | ゆうずどの結末 |
| 村社会の因習・伝承ホラーが好きな方 | お孵り |
| 家族の中で”見える人・見えない人”がいる怪異ものが好きな方 | おどろしの森 |
| 学校・いじめを舞台にした異形パニックホラーが好きな方 | くたばるの小人(めぐみの家には、小人がいる。) |
2019年のデビューから6年ほどで6作というペースなので、まだ十分に追いかけやすい作家さんです。これで既刊はすべて読み終えたので、次は新作が出るのを楽しみに待ちたいと思います。「呪いの条件」を読者自身に解かせる仕掛けと、村や旧家の因習をモチーフにした不穏な世界観、どちらも今後も追いかけていきたいと思わせてくれる作家さんでした。
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