※本記事はAIを活用して作成し、管理人が内容を確認・編集しています。
本棚の住人、Konohaです。
今回ご紹介するのは、2026年10月28日に発売された三津田信三さんの最新刊『七つ怪談 「オール讀物」奇譚』です。三津田信三さんの全作品まとめ記事でも、発売前から「楽しみにしている1冊」として紹介していました。
ちょうどこの秋、デビュー作『忌館』から『作者不詳』、『蛇棺葬』『百蛇堂』と、作家・三津田信三本人が語り手になる「作家三部作」を読み返したばかりでした。本作もまた、三津田さん本人が語り手として登場する短編集です。最初のページで「また語り手は三津田さん!」と思わずにやりとしながら、発売日に読み始めました。
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『七つ怪談』の評価
『七つ怪談』とは
『七つ怪談 「オール讀物」奇譚』は、2026年10月に文藝春秋から刊行された三津田信三さんの短編集です。老舗の小説誌「オール讀物」から短編の依頼を受けた三津田さんが、何を書こうかと考えるうちに、記憶の奥に眠っていた怪しい話を思い出していく……という形で、5編が収められています。帯の言葉は「戦慄のロジカルホラー!」。シリーズものではないので、三津田作品を初めて読む方でもこの1冊から手に取れます。
『七つ怪談』の見どころ
作家・三津田信三が「聞いた話」を語る、現実と地続きの怪談
語り手は、作家シリーズと同じく三津田さん本人です。編集者だった頃の仕事の話や、これまでに書いた作品の話がさらりと出てくるので、「これは本当にあった話なのでは」と思えてきます。しかも各話は、三津田さんが誰かから聞いた体験談を記す形。話してくれた相手の名前はもう覚えていないので「四影」「八影」と仮の名前で呼ぶ、といった語り口も、実話怪談らしい生々しさを生んでいます。
1冊の中に、怖さの種類がいくつも詰まっている
旧家に伝わる呪いと陰陽道の術、呼び声に追いかけられる峠の山道、子どもの頃の記憶にだけいる転校生。5編それぞれで怖さの質がまったく違います。表題作「七つ怪談」はさらに、7つの小さな怪談をまとめて紹介する構成になっていて、心霊ものから「人怖」寄りの話まで、短い話を次々に味わえます。
怪異の裏にある「理屈」を考える楽しさ
「ロジカルホラー」の言葉どおり、ただ怖いだけでは終わらない話もあります。特に1話目の「ただのろうもの」は、怪異のあとに三津田さんが「なぜそうなったのか」を考える場面があり、ミステリーのような納得感がありました。
『七つ怪談』収録5編の感想
ただのろうもの
いちばんのお気に入りです。タイトルからもう怖い。陰陽道に詳しい男性から、ある特異な能力をもつ女性「渕上さん」と、彼女に相談した女性の話を聞く……という導入が素晴らしく、わくわくしながら読み進めました。陰陽道をテーマにした三津田作品はあまり読んだ覚えがなく、陰陽道の歴史を知れたのも新鮮でした。
相談者が嫁いだのは、封建的な地方の旧家。玄関に、一日に一歩ずつ近づいてくる足跡が現れるあたりから、怖さがぐっと増していきます。呪いを解く場面の描写にも、思わず息をつめてしまいました。話が途中で終わってしまったときは「そんなぁ」と声が出ましたが、そのあとの三津田さんの考察には「なるほど」と納得。謎を少し残しながらも、1話目から面白かったです。
行逢峠
民俗学を専攻していた兄が、峠へ調査に出かけたまま行方不明になり、弟がその峠を目指す話です。後ろから聞こえてくる「お~い」という呼び声。それがある瞬間に変わったところで、本当にゾクッとしました。ゾクッとする話でしたが、謎は深まるばかりで、読み終えても気になる部分が残っています。
七つ怪談
表題作は、怖い話の特集のために「不吉な数の話を集めよう」と考えた三津田さんが、取材してきた怪談・奇談から7つを紹介する1編です。「七」が不吉な数字として知られているとは知りませんでした。この本自体が7つの短編なのかと思っていたので、この1編の中に7つの怪談が入っていると分かったときは少し驚きました。
同姓同名の人物が何度も現れる話、修行小屋に夜、女が訪ねてくる話、古本に挟まっていた奇妙な写真の話など、短いながらどれも不気味です。なかでも、後ろの席から聞こえてきた会話の話は、人間の怖さが前に出た1編で、最後の一言に「いや、怖い」とつぶやいてしまいました。シンプルな話でも三津田さんの描写で情景が浮かび、しっかり怖がれます。
赤錆び色の記憶
同窓会で、小学6年生のときにすぐ転校していった同級生のことを話したら、誰もそんな子はいなかったと言う。ところが、同窓会に来ていなかった女性だけが、その子のことを覚えていて……という話です。読んでいてとても不安になる1編でした。夕日を「赤錆び色」と表現して、見慣れた風景を恐ろしく見せるのがうまいなと感じました。
猿㾔孟(しらろぼう)様
三津田さんの作品にゆかりのある方の思い出から始まり、子どもの頃の友人から聞いた体験談へとつながっていく1編です。転校先でなじめなかった少年が、山の古い社で出会った不思議な女の子。少しずつ広がっていく遊びの輪が、思いもよらない形で崩れていきます。読み終えてからも、彼のその後が気になって仕方ありませんでした。
『七つ怪談』がおすすめな人
作家・三津田信三が語り手になる「作家三部作」の雰囲気が好きな方に。 現実と作り話の境目があいまいになっていく語り口を、短い話で何度も味わえます。旧家の因習、峠、古い社といった、和風の怪談が好きな方にもぴったりです。
一方で、こんな方には少し合わないかもしれません。
- 謎がすっきり解決する話を読みたい方(各話につながりはなく、分からないところは分からないまま終わる話が多めです)
- 刀城言耶シリーズのような、本格的な謎解きを期待している方
それでも、1話目の「ただのろうもの」の導入から考察までの流れは、三津田さんらしさがぎゅっと詰まった1編でした。三津田作品の入り口としても、まずは1話目だけ読んでみてください。
よくある質問
作家三部作を読んでいなくても楽しめますか?
楽しめます。三津田さん本人が語り手という点は同じですが、物語のつながりはないので、この1冊から読んで大丈夫です。三部作を読んでいると、作家としての経歴の話が出てきたときに「あの話だ」とにやりとできる、というおまけがあるくらいです。
収録作どうしにつながりはありますか?
私が読んだかぎりでは、各話は独立していて、最後にひとつにつながるような仕掛けはありませんでした。気になる話から読んでも問題ありませんが、三津田さんが語り手として少しずつ記憶をたどっていく雰囲気を味わうなら、最初から順番に読むのがおすすめです。
「ロジカルホラー」とありますが、謎はきちんと解かれますか?
話によります。1話目の「ただのろうもの」には、三津田さんが怪異の理由を考える場面があり、納得感がありました。ただ、ほかの話は謎を残したまま終わるものが多いです。私はその余韻も一興だと思いつつ、もう少し解釈を聞きたかったな、とも感じました。
怖さはどのくらいですか?
血が流れるような残酷な描写はほとんどなく、背筋がすっと冷えるような、じわじわとした怖さが中心です。「行逢峠」の呼び声の場面や、表題作の中の「後ろの席の会話」は、読みながら本当にゾクッとしました。夜にひとりで読むなら、少し覚悟して読んでください。
おわりに
作家三部作を読み返したばかりのタイミングで、また三津田さん本人が語る怪談に出会えたのは嬉しい偶然でした。1冊としての評価は★3ですが、「ただのろうもの」は三部作にも負けない読みごたえがあり、渕上さんの話はもっと聞いてみたいと思っています。
三津田さんが語り手になる長編を読みたくなった方は、作家三部作の第1作『忌館』のレビューもどうぞ。三津田作品全体の読む順番は、全作品まとめ記事で紹介しています。
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